Research Abstract |
大阪府内の公立高校(大阪府立春日丘高校定時制,大阪府立島本高校,大阪府立西淀川高校),地元企業(株式会社大阪工作所),地域における子ども・若者支援機関(西淀川子どもセンター,山王子どもセンター),高校へのスタッフ派遣を行なっているNPO・・企業等(大阪府労働協会,A'ワーク)にヒアリング調査を行った。調査の結果,得られた知見は,以下の通りである。 (1)偏差値ランクで見ると「中の下」から「下」に位置する高校は,かなりの数の中退者を出している。その幅は,10数名~100名規模にまで及ぶ。中退の時期は,高校1年次にある程度集中する。 (2)高校中退の背景にある要因としては,学校の教育力の問題以前の,生徒の出身家庭の生活破壊,貧困,小学校時代からの低学力,学習意欲の喪失,高卒の価値の低下(卒業しても就職できない)といった諸要因が複合している。学区制の拡大の影響,大阪府が独自の施策として,私学に通う生徒への授業料援助を始めたことの影響も少なくない。 (3)中退問題へのアプローチは,個別の高校の努力の範囲を超えていると考えるべきである。教育と福祉と就労支援が連携するスキームを必要とする。にもかかわらず,そうした実践的取り組みは,スクール・ソーシャルワーカーの派遣等,ごく端緒的に行われているのみであり,しかも早くも財政的な困難に直面している。 (4)不登校ぎみの生徒,高校中退者に対する支援には,学校の手が届いていない。地域レベルでの子ども・若者支援機関が,そうした若者への支援を行なっている実態がある。 以上の点については,来年度,さらに継続的に調査研究していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおりに研究が進展しているが,高等学校における取り組みだけを見ていても,十分につかみきれない問題があることがわかってきた。不登校ぎみの生徒や中退者を支援しているのは,学校ではなく,地域の子ども・若者支援センターのような機関であることが判明したため,今後はそれらについての調査研究を掘り下げていく必要がある。
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