2011 Fiscal Year Annual Research Report
保育士・教員養成における音声・歌唱教育に資する乳幼児音声の分析的研究
Project/Area Number |
22530891
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
坂井 康子 甲南女子大学, 人間科学部, 教授 (30425102)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志村 洋子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (60134326)
岡林 典子 京都女子大学・短期大学部, 教授 (30331672)
山根 直人 理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (60550192)
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Keywords | 乳幼児 / 音声 / 音響分析 / 喃語 / 韻律 / 母子コミュニケーション / リズム |
Research Abstract |
保育・教育のために必要な乳幼児音声の理解の基となる乳幼児音声の科学的な分析をおこなうべく、本年度(2年目)は、日本語の単語発話として頻出する3音の音声に注目し、3音がほぼ等時の音声を乳幼児音声データベースの8ヶ月齢、12ヶ月齢、17ヶ月齢、20ヶ月齢の音声から抽出し、「ことば(日本語)」と比較して分類した。分類の結果分かったことは以下の点である。 1.喃語期初期の3音は、1音1音が促音によって短く切られたり、長音によって延ばされたりする特殊拍を含む音声が多いが、その後月齢をおって順次、短い言語様の3音音声が増えていっていた。 2.促音や長音等特殊拍を含む3音の音声は,2語文以上を発話している時点でも継続して発声されていた。 喃語期の短い3音音声は、初期には少なく徐々に増えていることから、ことばとして発声している音声と考えられる。また、特殊拍を含む音声が20ヶ月齢になっても無くならないことから、この音声はことばではなく「うた」や「音声の表現拡大(唱えことば)」であるとみられる。これらの知見から、乳幼児の音声発達の実態は、言語発達としてみるだけでは解明がむずかしく、言語として発せられる以外の音声の実態を解明する必要があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乳幼児音声データの8ヶ月、12ヶ月、17ヶ月の音声について分類、分析をおこない、リズムについての分析結果を論文にまとめることができた。また4件の発表と3件の講演等をおこなった。同データの「うた度」に関する調査もおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに20ヶ月についてはデータの整理ができており、次年度は20ヶ月と24ヶ月の幼児音声のリズムについて分析する予定である。 また、同データについては、さらに「うた度」を指標に解析するため、これまでの聞き取りで得られた特徴的な音声についてソナグラムを中心とした分類を実施する。これらにより抽出された「うた度」の高い音声について、再関き取り調杏も進める予定である。これらを、学会発表並びに論文のかたちで公表する予定である。
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Research Products
(5 results)