2011 Fiscal Year Annual Research Report
現代インド南部2州におけるクリーミーレイヤーと最貧層の教育機会の生成過程
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22530929
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
牛尾 直行 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 先任准教授 (10302358)
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Keywords | インド / クリーミーレイヤー / 教育機会 / 社会的弱者層 / OBC |
Research Abstract |
1.OBC学生調査の実施・結果の分析 2011年8月にインド南部タミル・ナドゥー州においてOBC大学生を中心に約100名の大学生・大学院生を対象とした質問紙調査を行ない、彼らの教育機会の生成過程を家庭の生業・収入や親・教師・兄弟からのサポートなどから多面的に明らかにした。また、2011年末から2012年2月にかけて、MicrosoftのInfoPathを用いて詳細なフォームを作成して同じ対象者に第二次調査を行なった。 社会的弱者層の教育機会生成過程を高等教育機関在籍者を対象として行なったこの研究は、日本においては先駆的研究として意味があり、現在その分析を進めている。 2.南部2州におけるクリーミーレイヤーとマイノリティ・インスティテユートに関する法制度の調査 タミル・ナドゥー州とカルナータカ州におけるクリーミーレイヤー問題を文献と現地調査によって明らかにすることにより、社会的弱者層の教育機会生成がマイノリティ・インスティテユートと呼ばれる教育機関と深い結びつきがあることを明らかにした。 3.インドにおけるRTE法制の成立に関する研究 2010年4月より施行されたRight to education act(RTE法)の成立過程に関して社会的弱者層の教育機会に焦点を当てて明らかにすることにより、2002年の憲法21条改正とRTE法がインドの社会的弱者層の教育機会にどのような影響を及ぼすか、現地研究者への聞き取りと文献調査により考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査の実施と、それによる研究事項の深まりは、概ね当初の計画通り進んでいる。しかし、カルナータカ州での調査が遅れていることと、本年度中に投稿する予定であった専門学会への論文投稿が遅れている。ただし、後者に関してはHINDAS(広島大学)のジャーナルにRTE法関連の研究ノートを発表できたことは一つの成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は本科研の最終年度なので、以下の2点(これまでの2年間で明らかにできなかった部分)を現地調査と文献研究で補う必要がある。 (1)カルナータカ州におけるOBC学生調査 (2)初等・中等学校の学校内参与観察調査による教育機会影響要因 さらに、昨年度できなかった専門学会誌へ論文投稿をすること、最終年度の報告書を作成することを通して本研究のまとめとする。
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Research Products
(3 results)