2011 Fiscal Year Annual Research Report
米国北東部のラティーノ居住区における母語・継承文化教育の実践と学力向上との相関性
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22530935
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
牛田 千鶴 南山大学, 外国語学部, 教授 (40319413)
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Keywords | ラティーノ / 母語教育 / 継承文化教育 / 学力 / バイリンガル教育 / 移民 / ニューヨーク / マイノリティ |
Research Abstract |
2011年8~9月の現地調査においては、プリンストン大学社会学部のダグラス・マッシー教授やエドワード・テジェス教授、ニューヨーク市立大学ラテンアメリカ/ラティーノ研究センター所長のレイアード・バーガッド教授らと意見交換をすることができた一方で、予期せぬハリケーンの影響により一部調査が予定通りに進まなかった。また、ニューヨーク市内の新興ラティーノ集住地区(主にメキシコ系)を訪問したものの、住民の間には他者への警戒心が顕著に見られ、満足のいく聞き取り調査が実施できなかった。そこで、ニューヨーク市在住メキシコ系移民の出身地に注目し、2012年3月には、メキシコのプエブラ州南部ミシュテカ地域の自治体(トゥルシンゴ村・チナントラ村)を訪問した。プエブラ自治大学やトラスカラ大学院大学等の研究者、自治体の政治家、移民支援団体代表者、ニューヨークに家族を有する住民、ニューヨークから帰国した子どもたち等を対象として、インタビューを実施した。ニューヨーク市に住むメキシコ系移民の過半数はプエブラ州出身者であるため、移民を送り出す側の現状についても深く理解する機会となった。ミシュテカ地域訪問で得た人的ネットワークを通じ、次回のニューヨーク市における現地調査では、より確実な聞き取り調査を実施できるものと期待している。 尚、今年度の研究成果をまとめた論文は、「移民と母語教育-ニューヨークのラティーノ居住区を事例として-」と題し、『ことばと国家のインターフェイス』(行路社/近刊予定)に収録されることとなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2011年4月に学科長に就任し、学科運営業務による制約から出張可能期間が限定された上、ハリケーン等の影響で予定通りの現地調査が進まず、当初の研究計画よりやや遅れ気味である。とはいえ、ニューヨーク市に居住する大半のメキシコ系移民の出身地であるプエブラ州ミシュテカ地域を訪問し、貴重な人的ネットワークを築けたことで、今後は研究の加速化が期待でき、来年度の調査においては今年度の遅れを回復できるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年8~9月にニューヨーク市ならびにニューブランズウィック市(ニュージャージー州)のメキシコ系集住地区を再訪し、母語・継承文化教育プログラムを提供する複数の公立学校を訪れ、保護者や教師たちへの聞き取り調査と資料収集を継続して実施したい。その後は、12月開催予定の日本ラテンアメリカ学会中部日本研究部会にて研究報告を行なった上で、論文として研究成果を公表する予定である。
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