2010 Fiscal Year Annual Research Report
社会的相互作用に基づく算数・数学の授業構成に関する認識論的・記号論的研究
Project/Area Number |
22530975
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山口 武志 鹿児島大学, 教育学部, 教授 (60239895)
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Keywords | 社会的相互作用 / 算数・数学的活動 / 社会的構成主義 |
Research Abstract |
平成22年度の研究目的は,社会的相互作用に基づく算数・数学の教授・学習モデルを構築するための基礎的かつ理論的研究を行うことであった。この研究目的にかかわって,平成22年度の研究成果をまとめるならば,次の三つになる。 第一は,学習指導要領で強調されている算数・数学的活動について,「活動の所産としての数学」という視座から,算数・数学的活動の意味と意義を考察した。具体的には,「活動性の所産としての数学」という内在的数学観に立ちながら,算数・数学的活動の諸相を指摘するとともに,「対象化された活動性」という視座から,算数科の指導内容領域を考察した。 第二は,社会的相互作用と深かくかかわる「プロセス」能力の育成という視座から,イギリス,アメリカ,フィンランドの算数・数学科カリキュラムの特徴を考察し,日本における今後のカリキュラム研究への示唆を導出した。具体的には,(1)「内容」と「プロセス」という二つの視座からカリキュラムの充実を図ること,(2)カリキュラムにおいて達成度規準を具体化すること,(3)社会生活との関連性という視座から指導内容の選択・配列に関する枠組みを検討すること,の三つを指摘した。 第三は,社会的構成主義に基づく教育を重視しているフィンランドの算数・数学教育について,フィンランドの算数・数学科教科書の特徴を明らかにした。具体的には,(1)練習問題や宿題に関するページの充実,(2)子どもの多様性に配慮した「個に応じた指導」の充実,(3)算数・数学と社会生活との関連の重視,の三つの特徴を指摘した。
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Research Products
(3 results)