2011 Fiscal Year Annual Research Report
朝鮮半島の音楽プンムルとサムルノリによる日本型多文化音楽教育の教育内容と教材
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22531037
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
磯田 三津子 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (10460685)
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Keywords | 教材開発 / 多文化教育 / 音楽科教育 / 多文化音楽教育 / 在日コリアン |
Research Abstract |
平成23年度の研究成果は、日本型の多文化音楽教育を構築するために、多文化音楽教育の概念について検討したことである。本研究では、主に、1960年代の後半より、多文化音楽教育の理論と実践に関する実践・研究を蓄積してきた「MENC:全米音楽教育者会議」(MENC:The National Association for Music Education)が2000年以降に出版した文献を対象に検討を行った。米国では長年にわたって多文化音楽教育の研究・実践が展開してされていることから、日本型の多文化音楽教育について考える際にその理論と実践が参考になる。 上述した研究の結果は次の3点にまとめることができる。第一は、多文化音楽教育は、基本的には国内の多様な民族の音楽ではあるが、研究者によっては国外も含めた世界の多様な音楽を学習することが多文化音楽教育であると考えられていることである。第二は、従来、国や民族ごとの音楽の学習が中心であったが、現在の多文化音楽教育では様々な民族の音楽の音楽要素が混ざり合った音楽が教材とされており、民族や国を超えた音楽の相互影響関係が学べる内容が取り入れられるようになったことである。第三は、音楽教師が多文化音楽教育の授業を構成する際には、文化の担い手と直接関わりながら、音楽とその文化に関する情報を収集し、学習内容を構成することが必要とされていることである。 上述した研究と同時に、日本型の多文化音楽教育構築に向け、在日コリアンの音楽を教材化するための資料収集と聞き取り調査を行った。具体的には、在日コリアンの音楽教師、音楽家を中心に、音楽が演奏される文化的文脈に関する内容についての聞き取りである。本年度は、こうした教材開発に関する聞き取り調杳と、内容の分類と分析等を継続的に行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目(平成22年度)の研究課題は、日本型の多文化音楽教育の教材開発を考える際の基盤となるような多文化音楽教育の概念を整理することであった。1年目に収集した文献等を用いて、2年目(平成23年度)に研究論文として発表することができた。一方、在日コリアンの音楽を教材化するということについての研究については、平成23年度には研究として発表していない状況であり、次年度の課題とした。
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Strategy for Future Research Activity |
・聞き取り調査を在日コリアンの演奏家、音楽家を対象に行う ・インタビュー、授業実践等の記録に関するデータを分析する。 ・プンムルとサムルノリを教材化について学会等で発表する。
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Research Products
(1 results)