2011 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症者の会話能力を促すスクリプト及びスクリプト・フェイディング法に関する研究
Project/Area Number |
22531049
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
宮崎 眞 岩手大学, 教育学部, 教授 (60361036)
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Keywords | 自閉症 / スクリプト / スクリプト・フェイディング手続き / 刺激性制御の転移 / 会話行動 / 共同活動 / 小型液晶ディスプレイ |
Research Abstract |
1.スクリプトの自己管理に関する研究 [意義・重要性]ある程度会話に参加できる自閉症者を対象として、会話の話題や発話する言語行動を予め選択したり、自ら考案するS・SF法の手続きの有効性を検討するため、対象者2名(いずれも高等部1年)に質問ゲームという会話場面を設定し、会話の指導を行った。この新たな試みは、S・SF法を適用できる対象者の範囲を、言語能力のある程度ある対象者にまで拡大するものである。 [具体的な内容]質問ゲームを開始する前に、質問のテーマについて(例えば、ヒット曲、テレビ番組など)、質問に対する自分の返答を、指導者が作成したリストを参照したりしながら所定の用紙に書き込む。質問ゲームが開始したときに、自分で作成したスクリプトを参照しながら、質問に答えることができる。この指導の結果、2名の対象児いずれにおいても、会話中の発話頻度、やりとり数などが増加する傾向が認められた。 2.刺激性制御の転移に関する研究 [意義・重要性]共同活動の中で生まれる様々な発話機会へ刺激性制御を転移させるために、(1)発話機会へのプロンプト、(2)会話行動へのプロンプトが必要であると考えられる。これら2変数が刺激性制御の転移に与える効果を検証する目的で、パソコンによるスクリプト提示装置およびその操作を行うプログラムを開発した。 [具体的な内容]今年度、臨床指導にこのシステムを使用しながら改善を加え、システム開発を完了した。このシステムは、対象者の前に小型液晶ディスプレイを設置する。Wiiリモコンにより離れた場所からパソコンを介して、スクリプトをディスプレイに提示したりスクリプトのフェイディングを行う。このとき、スクリプトの提示の直前にブザー音を与える。次年度に、このシステムを使用した指導を開始する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)査読つきの論文を作成し、その中でS・SF手続きの有効性を示すことができた。 (2)質問ゲームで対象児が予め作成したスクリプトを活用した指導を実施できた。 (3)同時期に、パソコン制御のS・SF手続きを開発し、現在試作品が完成した。新しく開発した装置では、S・SF手続きによる指導を、小型ディスプレイによる行うことができる。 (4)知的障害の程度が軽度ですでに会話能力がある自閉症者に対するリスト型のSSF手続きを開発した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)新しく開発した液晶小型ディスプレイによるS・SF手続きによる会話指導を行い、この電子機器の有効性を立証する。 (2)同時期に、スマートメディアを使用したS・SF手続きを開発する。 (3)知的障害の程度が軽度ですでに会話能力のある自閉症者に対するリスト型のS・SF手続きの有効性を検討する。 (4)質問ゲームなどにおいて対象者自ら作成するスクリプトの効果を更に検証する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article]2012
Author(s)
嶋野重史・宮崎真・鎌田智穂
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Journal Title
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要
Volume: 11
Pages: 257-267
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