2011 Fiscal Year Annual Research Report
特別支援学校における幼児・児童の協同的学習を育む授業研究
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22531056
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤原 義博 筑波大学, 人間系, 教授 (10173501)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宍戸 和成 筑波大学, 人間系, 教授 (40332168)
井上 昌士 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所, 教育支援部, 総括研究員 (70509695)
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Keywords | 特別支援学校 / 協同学習 / 授業研究 |
Research Abstract |
1.実施方法:筑波大学附属久里浜特別支援学校では自閉症児の、附属大塚特別支援学校では知的障害児の「やりとり」と協同的学習の向上・促進を目標に、幼・小・中学部の対象授業を選定し、(1)物理的環境支援、(2)補助的手段、(3)人的支援、(4)評価、(5)学習機会の在り方の5つの観点から授業づくりを行い、4つの評価点(活動、参加、学習、やりとり)から成果と課題を分析し、年間を通した授業改善を実施した。 2.実施内容:(1)附属久里浜特別支援学校では、6名の自閉症児が在籍する小学部5年自閉症学級の授業「朝の会」を対象に、授業改善を行った。児童同士のやりとりの質の向上をめざし、他児の行動を弁別刺激とし、文脈に応じた適切な行動ができるための支援方法について、上記の5つの観点から検討を行った。その結果、全児童が文脈に応じて他者を注視し行動することが見られるようになった。このことから、呼名や返事、物の受け渡し等の成立を評価するだけではなく、そのやりとりの質的な変化を評価することの重要性が示唆された。(2)附属大塚特別支援学校では、幼稚部の「朝のあつまり」授業を対象に、教師の活動を幼児に移行する手続きの幼児同士のやりとり機会の増加にもつながる効果と、物理的手がかり教材の幼児同士のやりとりに及ぼす効果について検討した。その結果、幼児が主体的に他児や教師に働き掛ける活動の割合が増加した。また、「教示・援助」、「注意喚起」、「お礼」、「要求」などの波及効果の種類や回数が増えた。中学部の授業「朝の運動」の「サーキット」を対象に、逸脱行動をする生徒の参加活動につながる環境条件を機能分析し介入を行い、その効果を逸脱行動をする生徒としない生徒の行動変容から検討した。その結果、逸脱行動の減少と活動遂行レベルの向上と安定が見られ、多くの生徒の平均移動時間が減少するといったクラスワイドな効果が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
久里浜特別支援学校では、小学部1学級を対象とした授業改善研究を進めているが、次年度を含めて3年間の継続した取り組みが可能となっている。大塚特別支援学校では、同クラスの継続的取り組みは困難であるが、複数学部での複数学級での研究が可能となっており、しかも多様な観点からの分析、検討を行い、研究目的の分析、成果が順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度で最後の3年目となるため、この2年間で得られた成果を基盤に、年間を通した複数学部における授業改善を実施し、特に最終目標とする協同学習の向上、促進につながる研究成果の確立をめざす。久里浜特別支援学校では、本年度の対象学級の担任が次年度も継続して学級担任をおこなうため、研究継続を行う予定である。大塚特別支援学校では、次年度、対象学級は変わるが、複数学部学級での授業改善研究が可能であり、詳細な分析、検討も可能である。 課題としては、次年度は研究分担者の井上昌士が特総研から離れ、地元の特別支援学校に戻るため、直接的な研究分担が得られなくなることである。しかし、研究協力者として、次年度も持続的研究協力をえる予定である。
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Research Products
(4 results)