2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540024
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田口 雄一郎 九州大学, 大学院・数理学研究院, 准教授 (90231399)
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Keywords | ガロア表現 / モジュライ / p進Hodge理論 / 分岐理論 |
Research Abstract |
(1)函数体のガロア表現の合同について、前年度から研究を継続し、Drinfeld加群のRasmussen-玉川予想を部分的に証明した。この結果はLondonにおける研究集会で発表した。これは、この予想がAbel多様体だけでなくt-motiveについても成り立つことを予期させる点で重要である。またこれは、本研究の大域的な目標である「ガロア表現のモジュライ空間の中で、どこにどの様な表現がどれくらい存在しているのかを究明する事」に寄与する、重要な意味のある結果である。 (2)局所体A上のAbel多様体Aの、Kの或る無限次拡大体L上のMordell-Weil群の捩れ部分が有限である、といふ今井の定理を、多方面に一般化した。即ち、Kは剰余体が一般の完備離散附値体でよく、また、Abel多様体の等分点の代りに(Q/Z)-係数のetale cohomologyを考へる事によりpotentially good reductionを持つ一般のprojective smooth varietyであつて一定の条件を満たすものに対して、一般化する事が出来た。証明には、局所モノドロミー定理の証明に似た議論と、p進Hodge理論とによる。この結果の応用として、岩澤理論で重要な幾つかの定理の仮定を弱められる事が分かつた。 (3)l-進ガロア表現の「係数体」が、一つの素点kに於けるFrobeniusの像のtraceで生成される様なkの密度が(適当な条件の下)1となる事を近々証明出来る予定であるが、これと関連して、SL(2,Z)のHecke体のガロア群の構造及び判別式についての前田予想について考察した。今のところまだ数値実験に留まつてゐるが、この予想は確かに成り立つてゐる様子であり、来年度の研究でも引き続き取り組んで行きたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
結果自体はおおむね順調に出てゐるのだが、それを論文に書き下すための時間が足りない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画は基本的に今のままでよいが、結果(今井の定理の一般化、Hecke体のFrobeniusu固有値a_pによる生成、Drinfeld加群のRasmussen-玉川予想、等)を書き下すためにもつと時間を獲得する必要がある。これらの論文が完成したら、さらに、高次元schemeに対するある種のSelberg型zetaの定義をする、といふ興味深い課題が最近見えてきたので、これに取り組みたい。
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