2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540085
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
森本 雅治 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (30166441)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | トポロジ- / 同変多様体 / 交差と絡み / K-理論 / 変換群 |
Research Abstract |
G は有限群とする.最も興味を持たれ、かつ基本的な多様体はディスク、球面、射影空間である.これらの多様体上のG-作用を主として,部分群の不動点集合の交差や絡みの観点から研究を進めた.実G-表現 V, W に対して2点 a, b を不動点とし,その接表現空間 T_a(X), T_b(X) が V, W と同型であるホモトピー球面 X を Smith 球面と呼び, V と W は Smith 同値であると言う.平成24年度の研究で以下の成果を得た. (1)実G-表現 V について, G のいくつかの部分群 H に対して球面 S(V) のH-不動点集合達の次元と交差について研究した.その結果,8, 9 次元の球面はG = SL(2, 5)の滑らかな一不動点作用を持たないこと,また 17 次元以下では同型でない Smith 同値な接空間表現を持つ Smith 球面は存在しないことを示した. (2)G の正規部分群の族 F = { K } に同伴する実G-表現空間 V(F) について,その実射影空間の性質を研究し,実射影空間 P(V(F)) がG-作用を持つディスクに,F-不動点として滑らかに埋め込めるための十分条件を得た.これについては数理解析研究所講究録で成果を発表した. (3)有限群 G と,G/N が小さい G の正規部分群 N を考える.Smith 同値な実G-表現 V, W に対し V, W のN-不動点集合にどのような制約があるか研究した.この結果 G/N が V や W のN-不動点集合に原点以外で自由に作用し,V, W の Smith 球面 S のN-不動点集合が向き付け可能ならば,V と W のN-不動点集合の球面はG/N-ホモトピー同値でなければならないことを発見した. これらは変換群論における基本的な成果である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で以下の成果を得た. まず,部分群の不動点集合の交差や絡みが影響を及ぼす弱ギャップ条件の下で,写像をホモロジー同型に変形するための手術障害類と障害類群のK-理論的構成を行った.次にその障害類の消滅性を同変連結和によって保証するために障害類の Dress 型誘導定理を証明した.さらに,それらの研究成果を用いて球面上の滑らかな一不動点作用や Smith 同値表現を接空間表現として実現する Smith 球面の一般的な構成方法をあるタイプの Oliver 群に対して与えた.さらに特別な群 G = SL(2,5) の場合に,球面上の作用の部分群の不動点集合の次元や交差をコンピュータソフト GAP を用いて調べ,8, 9 次元の球面上の一不動点作用の非存在や,17 次元以下では非自明な Smith 球面が存在しないという事実を証明できた.これらの研究成果は同分野の Krzysztof Pawalowski 氏や角俊雄氏の研究の推進に良い影響を与えている. このように研究は,当初の期待以上に,大いに進展した.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の下で,不動点集合の絡みや交差が影響を及ぼす,ホモロジー同値を得るための同変手術障害類を代数的対象として表現し,その障害類の消滅について Dress 型誘導理論を構築した.そしてその応用として同型ではない実G-表現を持つ Smith 球面の一般的は構成方法を与えた.また,不動点集合の次元や交差を調べて G = SL(2,5) の場合に,8, 9 次元の球面はG-不動点が一点である滑らかな作用を許容しないこと,17 次元以下の球面は同型でない Smith 同値な表現を持つことはないことを証明できた.これらの研究成果の公表がこれからの課題である. また,他の研究者と情報交換し,関連した研究情報を集め波及的研究成果を調べ,今後の発展的研究を考えていく.特に同分野の専門家である Krzysztof Pawalowski 氏,角俊雄氏,枡田幹也氏,長崎生光氏らとは研究連絡を密にし,研究情報の収集を行う. 今年度は本研究課題の最終年度であるため,上記の成果を学会,シンポジウム等で口頭発表したり,専門誌に投稿することを目指した論文作成を実行する. またこの研究を,新たな研究「階層付き同変手術理論」に発展させ変換群論の研究をより深化させたい.
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Research Products
(8 results)