2010 Fiscal Year Annual Research Report
散逸系のパターンダイナミクスにおけるハミルトン構造とその周辺
Project/Area Number |
22540131
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
桑村 雅隆 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (30270333)
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Keywords | stem cell / proliferation / differentiation |
Research Abstract |
生物の形態や化学反応系は、エネルギーや物質の消費と流入のバランスによって動的に維持されているシステムと考えられることから、一般に「散逸系」とよばれている。本年度は散逸系におけるパターンダイナミクスにおけるハミルトン構造そのものの研究よりも、生態学や生物の形態形成におけるモデル方程式を研究することに重点をおいた。生物の形態形成における研究として、ショウジョウバエの小腸幹細胞の増殖と分化のメカニズムを力学系理論と数値シミュレーションの観点から理解することが挙げられる。1つの幹細胞は増殖し不等分裂することにより、1つの娘幹細胞と1つの前分化細胞になる。前分化細胞は内分泌細胞もしくは最終分化細胞のいずれかへ分化する。この細胞増殖分化のプロセスはNotchシグナルとWntシグナルによって制御されており、数学的には6変数の常微分方程式系で記述されると考えられる。この研究結果はJ.Biol.Dyns.vol.4.pp.248-257(2010)に掲載された。また、生態学における捕食者-被食者理論において、捕食者が被食者の個体数密度の減少率に依存して休眠する場合における、被食者と捕食者の個体群ダイナミクスを研究した。この研究結果は、第20回日本数理生物学会大会(2010年9月13日~16日、北海道大学)で発表された。
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Research Products
(3 results)