2011 Fiscal Year Annual Research Report
Thomassen予想とクローフリーグラフの2因子の研究
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22540152
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
善本 潔 日本大学, 理工学部, 准教授 (90307801)
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Keywords | Thomassen予想 / Jackson予想 / Tutte閉トレイル / ライングラフ / ハミルトンサイクル / 2因子 / 支配的サイクル |
Research Abstract |
本年度は、主にThomassen予想と同値な主張についての研究を行った。Thomassen予想とは、任意の4連結ライングラフはハミルトンサイクルを持つという主張である。一方、1992年にJacksonはThomassen予想を強めた、次の予想を提唱した。「2辺連結グラフGは適当な閉トレイルC(Tutte閉トレイル)を持ち、G-V(C)の任意の連結成分Dに対して、DとCを結ぶ辺は高々3本となるように出来る。」 この予想が正しければ、Thomassen予想が正しいことは容易に示すことが出来る。本年度、Cada、千葉、小関、Vrana氏との共同研究により、Jackson予想とThomassen予想が同値であることを示した。Thomassen予想はライングラフという非常に限られたグラフの族についての予想であるが、P-NP予想との関係が分かっており、今回更に、2辺連結グラフという、ほぼ全てのグラフが、Tutte閉トレイルという非常に強い性質を持つというJackson予想と同値であることが示されたことは非常に重要で、本研究者が本年度3月にアメリカ・メンフィス大学訪問において行った共同研究でも、重要なテーマになった。 本年度は、更にJackson予想に関連するKaiser-Skerekovski予想について共同研究を行い、その反例を構成することに成功した。このことは、Jackson予想を強めることが一般に難しいことを示唆しており、更にTutte閉トレイルを持つという性質が、局所的な性質ではなさそうだという予見を与えた。 Jackson予想の別の方向への拡張として閉トレイルの極大性についての研究がある。即ち極大な閉トレイルがTutte閉トレイルになるかという問題である。この研究については、最長サイクルが必ずしも支配的サイクルにならないと予想されているのと同様、否定的なグラフの構成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
国内外のグラフ理論研究者との共同研究が活発に行われ、特に昨今チェコのピルスナーグループのThomassen予想についての研究は非常に活発であり、ピルスナーグループの研究者との共同研究は、本研究目的達成に多いに貢献している。本年度は、ピルスナーグループのCada氏らとの共同研究により、Jackson予想との同値性の証明に成功し、期待以上の成果を上げることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
これからも、国内外の研究機関を訪問し、活発に共同研究を行う予定である。特に、Jackson予想を提唱したロンドン大のJackson教授は本年度得たThomassen予想との同値性についての結果に非常に興味を持たれている。そこで、次年度以降出来るだけ早期にロンドン大学を訪問し、Jackson予想についてのJackson教授と共同研究を行うことを予定している。また、2012年度アメリカ・ナッシュビルで開催されるグラフのサイクルについての国際会議に出席し、これまで得られた結果を発表し、多くの研究者と質疑を行い、議論を深める予定である。
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Research Products
(4 results)