2012 Fiscal Year Annual Research Report
Thomassen予想とクローフリーグラフの2因子の研究
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22540152
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
善本 潔 日本大学, 理工学部, 准教授 (90307801)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | グラフ理論 / ライングラフ / claw-freeグラフ / ハミルトンサイクル / Thomassen予想 / 2因子 / Tutteサイクル / dominating偶部分グラフ |
Research Abstract |
平成24年度は、Thomassen予想「4連結ライングラフはハミルトンサイクルを持つ」の解決を目指し、Tutte閉トレイルと偶部分グラフの研究を行った.Tutte閉トレイルとは、ライングラフのTutte閉路に対応する、ライングラフのプレイメージグラフにおける閉トレイルで、本研究者は昨年度チェコのCada氏、Vrena氏、小関氏、千葉氏との共同研究で、Thomassen予想が、Tutte閉トレイルに関するJackson予想「任意のBridge-lessグラフはTutte閉トレイルをもつ」と同値であることを示した.平成24年度は更にTutte閉トレイルの性質についての研究を行った. 本研究者はJackson教授と「任意のessentially 3-edge-connectedグラフは全ての成分が位数5以上であるような全域偶部分グラフをもつ」ことを示し、この下限5が最良である無限個の例を構成した.従って、一般にこの主張を改良することは出来ない.そこで本研究者は、上記Cada氏らとプレイメージグラフの辺を全て支配するdominating偶グラフの研究を行い、「essentially 3-edge-connected cubicグラフは、dominating偶部分グラフで、全ての成分が位数6以上のものをもつ」ことを示した. また、平成24年6月にアメリカ・バンダービルト大学で開催されたグラフのサイクルについての国際会議で、本科学研究費補助金によるこれまでの研究結果を発表し、Plummer教授ら多くの研究者からの知見をえた.またチェコ・Domazliceで、それらに加えて、平成24年度に得られた結果を加えた講演を行い、特にBroersma教授らと、cubicグラフにおけるdominating偶部分グラフについての上記の主張の、一般のグラフへの拡張についての議論を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べたとおり、Thommasen予想を解決するために、Tutte閉トレイルに関するそれと同値な主張を示した.これまでは上で述べたJackson予想がThomassen予想を含んでいると言うことが知られていたが、その逆も成り立つことが本研究者らによって示された.これはThomassen予想を解決する上で大きな進歩で、更にTutte閉トレイルの性質を解明することによりJackson予想の解決が期待される.具体的には、平面グラフではTutteサイクルについての研究がよく行われており、そこで開発された技術などをライングラフやそのプレイメージグラフに応用出来ることが期待でき、Thomassen予想の解決に対して、大きな一歩が得られた言える. また、ハミルトンサイクルは特別な2因子であり、Thomassen予想の解決に対して、ライングラフの2因子の成分数の研究は重要な課題である.成分の位数の下限は5が最良であることが知られているが、プレイメージグラフを考えたとき、全域的な2因子である必要はなく、dominating偶部分グラフであれば十分である.これまでの研究で長らく進展が得られなかった下限に関する研究が、今回のdominating偶部分グラフの存在についての結果によって大きな進捗が得られた.Thomassen予想におけるハミルトンサイクルは、そのプレイメージグラフでは、1成分からなるdominating偶部分グラフに対応し、今回その成分の位数の下限を改良できたことは非常に大きな進展である. 以上のように、Thomassen予想の解決を目指す本研究課題に対して、大域的な性質といえるTutte閉トレイルについて研究成果と局所的な性質を含むdominating偶部分グラフについて成果が得られ、期待以上の研究成果が得られていると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
bridge-lessグラフがTutte閉トレイルが存在するというJackson予想に対して、すでのその反例があればessentially 3-edge-connectedであることが解明している.今後の課題としては、このようなTutte閉トレイルの性質を解析することがあげられる.また同時に、有名なグラフ理論の未解決問題「bridge-lessグラフはサイクルの集合で、全てのグラフの辺は丁度2つのサイクルが含むようなものが存在する」というcycle double covering予想との関係を解明するとともに、これまでのcycle double covering予想の研究で開発された手法や技術のTutte閉トレイルの研究への応用を行う.チェコ・Domazliceでのワークショップでは、cycle double covering予想の研究で著名なZhang教授も出席された.Zhang教授との共同研究を行い、これらの解決を目指す. ライングラフの2因子やプレイメージグラフのdominating偶部分グラフの研究に対しては、まず24年度に得られたessenailly 3-edge-connected cubicグラフについての主張を一般のグラフへ拡張する.これに対しては、本研究者とJackson教授との2因子の研究についての手法の応用が考えられる.しかしdominating偶部分グラフの場合、取りこぼす頂点が存在するので、そのままの方法では一般化できないことが分かっている.そこで、次数5以上の頂点のsplittingを行う方法を改良しなければならない.その解明のために、Broersma教授らと共同研究を行う予定で、そのために9月にBroersma教授が所属するオランダTwente大学を訪問する予定である.
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Research Products
(3 results)