2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540165
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡辺 文彦 北見工業大学, 工学部, 准教授 (20274433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞野 智之 琉球大学, 理学部, 助教 (60378594)
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Keywords | コホモロジー / モノドロミー / 積分表示 / 楕円曲線 / ツイストホモロジー / 複素トーラス / パンルヴェ方程式 |
Research Abstract |
2次元複素トーラス(じつはJacobian)上からテータ因子を2つぬいた空間を考える.このテータ因子上で分岐した多価函数により基本群の1次元表現からきまる局所系係数のホモロジーを調べた.結果はH_0,H_1,H_3,H_4は消えていることがわかり,H_2については基底を具体的に構成した.H_2は複素6次元あり,1次独立なホモロジー類は構成の仕方に応じて計3種類に分けられ,「大域的な」ホモロジー類と呼んでいるもの1つ,「配置に付随する」ホモロジー類1つ,「テータ因子(種数2のリーマン面)の種数に付随する」ホモロジー類4つある.射影空間の超平面配置で構成されるものとの違いは,とくに大域的なものとテータ因子の種数に付随するものにあり,これが射影空間の幾何と複素トーラスの幾何の違いを物語っている.この種のホモロジー類の構成は射影空間以外では新しいのではないかと思われる.これは複素トーラス上の定積分の積分領域を考える際の基礎となる結果である.また,接続問題モノドロミー問題や微分方程式を考える際の基礎となる. 1次元トーラス上9点分岐の積分論と関係して,q差分第6パンルヴェ方程式の漸近解析と接続問題に関する結果を得た.連続第6パンルヴェ方程式の接続問題や漸近解析にqに関する極限をとることにより応用が期待される. さらに1次元トーラス上の積分の満たす線形方程式の一般化として,結節点を持つ有理曲線上の線形微分方程式のモノドロミ保存変形の定式化に関する結果を得た.これは従来は非特異リーマン面上に限ったモノドロミー保存変形の理論を特異点のある多様体に拡張するための出発点と考えられる.
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