2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540165
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡辺 文彦 北見工業大学, 工学部, 准教授 (20274433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞野 智行 琉球大学, 理学部, 助教 (60378594)
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Keywords | モノドロミー / Wirtinger積分 / ツイストホモロジー類 / 複素トーラス / ガルニエ系 / パデ近似 |
Research Abstract |
2次元ヤコビ多様体からテータ因子をふたつ抜いた空間を考える.テータ因子で分岐する多価函数による基本群の1次元表現から決まる局所系係数のツイストホモロジー群H_2の基底の構成のうち,配置に付随するツイストホモロジー類の構成では,ツイストサイクルの「へり」がテータ因子上の曲線のとり方によるが,どのようなとり方でもツイストホモロジー類は同一であることが証明された.ごの種の状況は射影.空間における超平面配置ではおこり得ない問題であった.これにより,きまざまな多様体上(とりあえずは2次元)の必ずしも超平面ではない配置に対するツイストホモロジー類の厳密な構成法を確立したといえる.さまざまな応用がかんがえられ,射影平面上で考えた場合でも直線ではない配置、たとえば楕円曲線が現れる場合の構成に示唆を与えるものと考える.従来超幾何積分は高々2次式のべき積の積分で定義されており,分岐が現れる多様体はすべて本質的に射影空間であるが,.必ずしもそうでない新たな超幾何積分を定義できる可能性がある. Riemann-Wirtinger積分の基礎付けをツイスト(コ)ホモロジー論によって与える研究は以前より続けられてきたが証明法に改善を加え査読論文として掲載が決まった.これは1次元トーラス上の積分の構成に関し過不足なく積分を与える方法,接続問題,コホモロジーの微分加群としての構造を調べる際の基礎となる結果である。またこの結果を利用してレベル一般のモジュラー曲線上のWhtinger積分から決まるフックス型方程式の特性指数についての研究に関し結果を得,論文化した. ガルニエ系の解の行列式表示とパデ近似の関係について明らかにしたほか,高階シュレジンガー系の解とパデ近似の拡張理論との関係について研究に進展があった.三重大学の川向洋之氏と共同で差分ガルニエ系の構成について研究を推進した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究が進展した結果,論文化もできている部分もある.その一方で,ツイストホモロジー類がテータ因子上の曲線のとり方によらず同一のものを定めるということの証明は,4次元トポロジーの技巧を駆使しておこなうため難解なものであり,類似の問題がこれまでの超幾何函数論にはなかったため,これの解決に予定をこえて時間を消費してしまった(最終解決は1月末).このためコホモロジーの考察に遅延が見られる.
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Strategy for Future Research Activity |
2次元トーラス上テータ因子が2つの場合のツイストホモロジー類の構成は,細かい部分まで含め精密に構成する技法が確立したので,一般の配置の場合に応用することをめざす.一方コホモロジーについては,Mittag-Lefflerの定理により函数論的に比較定理を証明する手法を以前確立した.その際,微分形式の因子に沿う留数を知る必要があり,Hodge-Atiyahによればツイストサイクルの情報が必要になってくるが,たとえばテータ因子が2の場合であれば,この問題を取り組む環境が整ったといえる. さらに,引き続き高階シュレジンガー系の解とパデ近似の拡張理論との関係について,および差分ガルニエ系の構成について研究を推進する.モジュラー曲線上のWirtinger積分から決まるフックス型方程式について,より詳細な性質の研究を行う.Wirtinger積分を多重積分に拡張した理論の構成を行い,その性質を研究する.
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Research Products
(5 results)