2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540165
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡辺 文彦 北見工業大学, 工学部, 准教授 (20274433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
眞野 智行 琉球大学, 理学部, 准教授 (60378594)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2014-03-31
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Keywords | 解析学 / 複素トーラス / テータ函数 / 対数的ドラーム複体 / Wirtinger積分 |
Research Abstract |
1次元トーラスのツイストコホモロジーについては,Watanabe(2007)およびMano-Watanabe(2012)により構造が詳しく調べられたが,そこでの手法は特異点周りの局所的考察ののちMittag-Lefflerの定理を応用する函数論的なもので複雑な計算を伴い,高次元への一般化がしづらいものであった.ところが,平成24年度ではこれらの論文で得られた結果を,Deligneの対数的DeRhamコホモロジー論およびスペクトル系列を用いることにより,複雑な計算を伴わなわず非常に簡易に導くことができた(https://www.sites.google.com/site/watanabehumihikonopeji に5月上旬に結果要約公開予定).ここでなされた議論はどの部分も容易に高次元化ができるような姿をしているので,この研究課題の目的である2次元複素トーラスのツイストコホモロジーの研究に応用できるのではないかと考えている.しかもこの方法を射影空間の超平面配置の幾何学に応用することも可能ではないかと考えられ,青本・喜多氏の著書にある議論よりかなり短い議論で同様の結果に到達できる可能性がある.Mano-Watanabe(2012)の応用として,眞野智行は,自然数Nに対して1次元複素トーラス上のN等分点に零点をもつテータ関数の冪積の積分(レベルNのWirtinger積分)についてこれがレベルNのモジュラー曲線上で定義されたフックス型微分方程式の解となることを示し,また確定特異点における特性指数を明示的に記述した.これはKyushu J. Math. (2012)に出版された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1次元トーラス上の積分は眞野により結果が導かれていることからほぼ予定通りの進行であるといえる.2次元ツイストコホモロジー自体の結果はまだ出ていないが,上述したように以前得た1次元の結果の導出を高次元にも容易に一般化できるような手法でおこなったことから,2次元そのものへの研究の準備は整ったと思われ,この研究課題の最終年度までにはある程度まとまった結果が導き出せそうな予感がする.2次元ツイストホモロジーについても複素トーラス特有のホモロジー類の構成法の基礎的手法は2012年までに確立している.以上で得られた結果の一部は,これまで前例のない手法により導かれており,このような手法に想到するまでかなりの時間を費やしたことから,細かく見ると当初の研究計画より遅延している分野も一部あるが,この研究課題で最も解明したい核心的部分については徐々に結果が得られていることから,おおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
ホモロジーおよびコホモロジーの構造決定という最も基礎的な部分に多くの時間を費やして来ていることから,当初の研究計画にある複素トーラス上の多変数積分の解析にまで研究最終年度までに手がつけられるかどうかは微妙な情勢となっている.しかしながら,上述したように,平成24年度に判明したツイストコホモロジーの構造をスペクトル系列により決定するという論法は,本研究課題では想定していなかった産物であるのに加え,青本・喜多氏の著書にある射影空間内の超平面配置のコホモロジーの議論をさらに簡易化できる可能性が出てきたので,代替として簡易化の研究をおこなうことは本研究課題の趣旨にもかない意味のあることと考えられる.最終年度では,本来の研究計画に基づき,進行中の研究では確定的結果が出せるよう研究を実施すると同時に,本研究課題で当初は想定していなかった新たな知見が得られるのであれば,そのような知見が確実に得られるような研究も実施する.
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Research Products
(7 results)