2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540175
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
木村 泰紀 東邦大学, 理学部, 准教授 (20313447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青山 耕治 千葉大学, 法経学部, 教授 (20293152)
飯塚 秀明 九州工業大学, ネットワークデザイン研究センター, 准教授 (50532280)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 非線形問題 / 不動点 / 近似列 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、非線形問題の解析を集合値解析等の現代的な数学的手法を用いておこない、より多くの問題に適用可能な解法を見出すことである。さらに計算機によるシミュレーション等も視野に入れ、現実社会に存在する具体的な問題への適用も目指している。 今年度の研究においては、本研究で取り扱う解析手法の一つである、非線形問題の解の近似列の収束に関する性質について、従来扱ってきたバナッハ空間上で定義された写像の研究に加え、測地距離空間上で定義された写像に対する知見も得ることができた。とくに、完備CAT(1)空間と呼ばれる測地距離空間におけるHalpern型の近似列生成手法については、過去に発表されていた収束定理の証明の間違いを指摘し、より一般的な定理の証明をおこなうことで、本研究の成果の一つとしてだけではなく、不動点近似理論における重要な一歩として一定の評価が得られるものと考えている。 一方、工学等への応用が多いに期待されている像回復問題に対する結果も得られている。これは空間の凸性に関してある条件を仮定した実バナッハ空間における、点列の弱収束定理であり、可算無限個の閉凸集合族に対する共通点を近似的に発見する手法を提案したものである。点列生成時の係数を調整することにより、有限個の写像族を巡回的に用いた点列生成に対する弱収束も保証する定理でもある。 また、これらに付随した近似法の改良に関する結果も複数あり、本年度の本研究課題に関する理論的な研究結果は、当初想定していたものと比較しても順調に進んでいると考えられる。一方、計算機実験と関連する研究については少々遅れがあり、次年度の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の中心課題である非線形問題の解近似点列生成手法に関する理論的研究に関しては研究計画で示したものに相当する一定の成果を挙げることができた。一方で計算機実験については、近似速度の向上などについて予想していた結果が得られず、課題を残した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度に精力的に推進すべき課題は、計算機実験による生成点列の解近似速度向上の検証に関する研究である。理論的な美しさのみにとらわれず、より現実的な仮定のもとでの計算機実験をおこなうことで、従来は得られなかった成果の獲得を目指す。
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