2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540186
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高崎 金久 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (40171433)
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Keywords | 戸田階層 / 量子トーラス代数 / 一般化弦方程式 / 溶解結晶模型 / フルヴィッツ数 / スペクトル曲線 / 一般化ホドグラフ法 / 対数的時間発展 |
Research Abstract |
1. 溶解結晶模型(5次元ゲージ理論のインスタントン和の統計力学的模型)の分配函数や球面のフルヴィッツ数の母函数は戸田階層の特殊解であり,その理解には量子トーラス代数が重要な役割を果たすと期待されていたが,実際にこれらの特殊解に対して量子トーラス代数対称性の観点から一般化弦方程式を導出し,その解を古典(無分散)極限において構成することができた.これによって,溶解結晶模型の場合には,すでに知られていたリーマン・ヒルベルト問題による熱力学的極限の記述が戸田階層の観点からも再現できることがわかった.また,フルヴィッツ数の母函数の場合には,最近のランダム行列的方法においてスペクトル曲線と呼ばれているものが一般化弦方程式の古典極限の解の構成の際にも現れることがわかった. 2. フルヴィッツ数の母函数の研究の副産物として,無分散変形KP階層の新たな簡約を見出し,この簡約方程式系が一般化ホドグラフ法によって解けることを示した.この簡約は無分散可積分系において従来知られていた各種の簡約とは異質なものであり,フロベニウス構造の観点からも興味深い題材を提供しているように思われる. 3. 1次元戸田階層やアブロビッツ・ラディック階層においては通常の時間発展以外に対数的時間発展を導入できることが知られているが,N波相互作用系などの多成分可積分系においても対数的時間発展が導入できることを見出した.さらに,このように拡張された可積分階層が無分散極限をもち,それらが一般化ホドグラフ法によって解けることを確かめた.
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