2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540225
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩井 敏洋 京都大学, 情報学研究科, 教授 (10021635)
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Keywords | 幾何力学 / ポート制御 / 配位平坦 / チャーン数 / 2面体群 / 正6面体群 |
Research Abstract |
23年度の研究計画に基づき、回転群の離散部分群の2次元球面上への作用と、その既約表現とを考えて、それらの作用の下で不変なエルミート行列を球面上のハミルトン作用素を考察した。固有値が縮退しなければ、ひとつの固有値に付随する複素直線バンドルを球面上に定義することができる。パラメータの値如何では、固有値が縮退するので、このようなバンドルは構成できない。複素直線バンドルが構成できるようなパラメータはどのような集合をなすのか、その時のチャーン数はいくらか。パラメータの変化に伴って、バンドルが一旦崩れて、次に再構成されるとき、チャーン数に変化が現れる。このような現象を、D3の記号で表される離散群の対称性をもつ2次のエルミート行列について研究し、その結果を「Energy bands : Chern numbers and symmetry」と「Rearrangement of energy bands : Chern numbers in the presence of cubic symmetry」の2編の論文にまとめて公表した。以前から続けてきた、猫の宙返りの問題は、すでに前年度に論文を投稿していたのだが、査読に時間がかかり、23年度になってようやく「The falling cat as a port-controlled Hamiltonian system」と題して公刊された。本論文の基本的な部分は昨年度の報告書にある通り日本語ですでに公表されている。同じく、微分幾何学の制御理論への応用として、ラグランジュ力学系における出入力の関係を論じた論文を「Configuration flatness of Lagrangian control systems with fewer controls than degrees of freedom」と題して公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の申請当初は、Boris Zhilinskii氏との共同研究は明確には予期していなかったが、あるきっかけで共同研究を始めることとなり、特に、伝統的な分子の力学で用いられている離散対称性を取り入れて、量子系の簡約化の理論の新たな側面を見出して、研究が意外な方向に展開し、当初の見込み以上の成果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
Boris Zzhilinskii氏との共同研究はe-mailによるファイルのやり取りにより現在も継続中である。その中で、ハミルトニアンのパラメータ変化に伴うチャーン数の変化量の一般的法則を3準位系において研究している。また、多様体上の最適化手法の数値計算アルゴリズムへの応用についても他の人と共同研究中である。こちらも多様体上の力学系理論の実際的展開であり、本研究計画の申請当初にはそれほど明確には意識されていなかったが、研究課題の趣旨に十分かなうものである。
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Research Products
(7 results)