2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22540229
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
成川 公昭 鳴門教育大学, 大学院・学校教育研究科, 教授 (60116639)
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Keywords | 準線形楕円型方程式 / Cheeger set / 自由境界 / 変分問題 / 非線形解析 / Orlicz-Sobolev空間 |
Research Abstract |
自由塊界を持つ準線形楕円型方程式の研究の手始めとして、昨年度境界固定のディリクレ問題の解の構造について詳しく研究を行ったが、それに引き続き本年度前半では不定符号係数を持つ非線形ノイマン問題について詳しい解析を行った。その結果、非斉次な準線形微分方程式に対する非線形境界の問題についていくつかの結果を得ることができた。自由境界の場合には、これらの解の性質が引き継がれると予想され、これらの結果に基づき、本年度後半において特に自由境界の正則性、形状を記述する方程式の導出へと研究を進めた。自由境界が現れる変分問題としてCheeger setに対する問題が古くから研究されている。この問題の類似性に着目し、その結果とどのような関係が成り立つのかを調べるため、これまでのCheeger setに対する先行研究を辿った。その結果、Cheeger setにおいてもp-ラプラシアンの固有値問題の極限状態として記述されることや、その自由境界が極小曲面により得られることなど、本研究において予想される状況があらわになってきた。ここで使用されている手法や議論は今後の研究において有力な方向を与えるものと予想される。また、本研究課題が、単に物理的な側面だけではなく、数学的に重要な意味を内在していることもこの研究より明らかになってきた。具体的には、幾何学的測度論的方法により自由境界の正則性を、Cheeger setの研究において行われたのと同じ方法により証明しようと研究を進めた。これについては未だ完全な解決には至っておらず、来年度の課題ではあるが、汎関数にある程度の条件を課すことにより結果が得られるものと思われる。更に、自由境界の正則性が得られたのち、その形状の決定についても今後の問題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
方程式自身の解の構造については既に得られており、後は自由境界の解析を行うところに至っている。自由境界の解析においては先行研究による結果が適用可能と予想され、その方向性も得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題の推進方策については従来と変更するところはない。研究代表者が連携研究者と密に研究打ち合わせを行い、それぞれの研究課題を調整し、その結果を総括する。連携研究者は、それぞれ、課せられた自分の課題を専門的立場から攻略するべく情報収集、研究活動を行う。研究打ち合わせ及び調整は、週1回程度開催するセミナーを通じて行う。
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Research Products
(2 results)