2011 Fiscal Year Annual Research Report
多孔性媒質中の流体現象をモデル化した保存則系の数学解析
Project/Area Number |
22540238
|
Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
浅倉 史興 大阪電気通信大学, 金融経済学部, 教授 (20140238)
|
Keywords | 保存則 / 双曲系 / 衝撃波 / エントロピー / 多相流体 / Darcyの法則 / 気体力学 / 波面追跡法 |
Research Abstract |
1.空間1次元のpolytropic気体モデル:(1)A. Corli氏との共同研究により,polytropic気体モデルの解析を行った.前年度に空間1次元等温多相流体モデルを解析した手法を用いて,大域解の存在証明の大筋は完成したが,同方向に伝播する衝撃波が衝突したときに発生する,エントロピー波の評価が未完である.衝撃波と同様に評価すればよいと考えていたが,むしろ同時に発生する膨張波と同様にすべきと考えられる. (2)T.-P. Liu氏が1978年に2つの論文(Indiana J. Math & Arch. Rat. Math. Mech)の中で発表した衝撃波の局所相互作用評価の証明は,非常に難解であったので,分かりやすい形に書き改めた(Math. Acta Vietnameseに投稿中).この評価は,Polytropic気体モデルの解析において基本的である。 (3)摩擦がある管(断面積一定)の中を伝播する,一般気体モデルの定常解を研究した.管の両端における圧力差により,滑らかな解が存在する場合と定常衝撃波が存在する場合とがある.とくに,後者の場合には,エントロピーを最大にする解は一意的に定まることを示した.Polytropic気体においては,諸条件が気体定数γにより表されるが,一般気体では,いくつかの無次元量のあいだの関係式となる. 2.Stone-Marchesinの3相流体モデル:)特性ベクトル場の,状態空間の境界における解析をおこなった.解析は容易であるが,境界における挙動により,許容される拡散行列の情報が得られると考えられたが,まだ成功していない.また,プロトタイプとして,対称双曲系に非対称な拡散行列をもつ,双曲-放物系を解析した.安定になる場合と不安定になる場合の例を構成したが,一般的な判定条件は得られていない.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
1.Polytropic型流体モデルの研究については,波面追跡法により大域解の存在を証明する大筋が完成した.しかし,Stone-Marchesinモデルについては,特性ベクトル場とHugoniot曲線の大域的な解析は,ほぼ終わったが,基本波面多様体が有効に使われていない.また,拡散行列の解析が不十分である.
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)研究目的の達成に遅延があるので,連携研究者との共同研究を推進し迅速に目的を達成する. (2)良い性質をもつエントロピー関数を求めることは困難と考えていたが,求めることも試すべきである. (3)拡散行列を解析する方法としてBianchin-Hanouzet-Natalini(CPAM,2007)の方法を検討する.
|
Research Products
(1 results)