2010 Fiscal Year Annual Research Report
気球実験による、かに星雲と白鳥座CygX-1からの軟ガンマ線偏光測定
Project/Area Number |
22540245
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
釜江 常好 東京大学, 大学院・理学系研究科, 名誉教授 (90011618)
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Keywords | 気球実験 / 軟ガンマ線偏光検出器 / かに星雲 / 白鳥座 / ブラックホール |
Research Abstract |
当年度の初めに計画していた通り、平成21年度にストックホルムの王立工科大学で放射性同位元素と宇宙線を使ったテストが済んでいた硬X線偏光測定装置を、平成22年4月に、スウェーデンの企業が製作した姿勢制御装置と合体させ、方向制御などのテストを行った。5月には、この装置を気球実験が行われるスウェーデン北部にあるESRANGE気球実験基地に送り、スウェーデン宇宙委員会により用意されていたゴンドラに組み込み、PoGOLite-Pathfinder気球実験の飛行準備に入った。 日本チームからは、高橋弘充が5月から、釜江が6月初めからスウェーデンで作業に参加した。また水野は広島でGeant4をベースにしたシミュレーションプログラムを整備した。 気球の飛行準備は、地上とゴンドラ間の通信をIridium通信衛星網に頼ることや太陽が沈まない北極圏内で星を使った方向制御の動作を確認することに伴う困難さで少し手間取った。ハンガー内に擬似星(ランプ)を設置し、通信衛星用のアンテナを屋外に設置するなどで、約2週間遅れで全てのプレフライトテストに合格し、飛行許可を得た。 7月7日2時に放球し、約3時間後に約31kmの高度まで到達したが、上昇速度が鈍化した。気球の責任者がヘリウムガスが漏れている可能性が高いと判断し、ノルウェーとの国境の山岳地帯に達する前にパラシュートで回収することとなった。湖が多い場所であるため、無事回収できるか心配されたが、幸運にも、気球基地から40kmほど西の平地の道路脇に着地した。当日深夜に回収され、翌日にはゴンドラや方向制御、さらには硬X線偏光測定装置には損傷がないことが確認し、翌年の再飛行に備えることとなった。
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Research Products
(4 results)