2011 Fiscal Year Annual Research Report
活動銀河核多波長モニターデータベースと活動銀河核変光・放射機構の研究
Project/Area Number |
22540247
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
峰崎 岳夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (60292835)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 俊宏 筑波大学, 計算科学研究センター, 研究員 (60433695)
|
Keywords | ブラックホール / クエーサー / 活動銀河核 / 可視光 / 赤外線 / 多波長 / 変光 / ダスト |
Research Abstract |
活動銀河核とは銀河の中心部の極めて小さい領域において太陽光度の1000万~100兆倍に達する巨大な放射が生じている現象で、太陽質量の10万~100億倍の質量をもつ巨大ブラックホールへのガス降着によって開放される位置エネルギーが降着円盤によって放射に変換されている。本研究では活動銀河核の多波長モニターデータを使い多波長変光の相関を解析し、降着円盤やダストトーラスの構造と放射機構を明らかにすること第一の目的とし、これを通じて巨大ブラックホールの成長や活動銀河核と銀河の共進化の謎の解明にも貢献することが目標である。 東京大学MAGNUM望遠鏡及びSDSS Stripe82領域の多波長モニター観測から、大質量ブラックホールを持つクエーサーでは明るくなると紫外線連続放射スペクトルが明るくなるが、活動銀河核の可視連続放射は変光によらず変化しないことを示した。これは降着円盤放射の変光が大域的な質量降着率の変動で現象論的に説明できる。また、昨年度構築したダストトーラス放射の降着円盤放射に対する応答モデルを用いて、活動銀河核の内部構造の様々な場合における近赤外線放射の応答を調べた。既存の観測結果を解釈し、また今後の観測結果の解析によりテストされる計算結果が得られた。これらを観測と比較して活動銀河核の内部構造を調べる準備ができたといえる。しかし、単純な応答モデルでは解釈できない光度曲線も観測されており、ダストトーラスの物理状態の詳細な考察の必要があることもわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
可視赤外綜モニター観測によるダストトーラスサイズの研究については一定の結論は出ているものの、トーラス中のダストの性質の最新情報を取り入れるため諭文化がやや遅れている。ダストトーラスの応答モデルについては順調に構築が進んでいる。降着円盤放射の長期的変光現象の原因については一定の結論を得る事ができた。いっぽうで短期的変光現象についてはX線観測装置の感度が想定より劣っているため、研究が遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
活動銀河核のダストトーラス内径と降着円盤可視光度との相関に有意な分散があることがわかったので、その分散の原因を探るとともに他の波長での光度の相関とその応用を調べる。またダストトーラス放射応答モデルを利用して観測データとの比較を行いダストトーラスの幾何学的・物理学的性質を求める。観測データをモデルとパラメトリックに比較するだけでなく、親測データのみからノンパラメトリックに相関関数を求め理論モデルと比較することも試みる。長期的な降着円盤放射変光機構の現象論的モデルを利用して、良好な統計に基づいて降着円盤放射モデルやブラックホール質量測定の妥当性について検討する。このほか短期的な変光現象、あるいは低光度活動銀河核における変光現象についても研究を進める。
|