2011 Fiscal Year Annual Research Report
Si,Ge表面反転層サブバンド構造の異方性と歪みによる物性制御
Project/Area Number |
22540332
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
稲岡 毅 琉球大学, 理学部, 教授 (40184709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳澤 将 琉球大学, 理学部, 助教 (10403007)
武田 さくら 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教 (30314537)
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Keywords | Si, Ge / 表面反転層 / サブバンド / 異方性 / 歪み / 表面・界面物性 / 半導体物性 |
Research Abstract |
理論的研究では、圧縮および引っ張り歪みがSiのバルク価電子帯構造に及ぼす効果を解析した。[100]、[110]各方向の1軸歪み、[100]、[010]両方向の2軸歪みを加えて、第1価電子帯のホール有効質量比m^*/m_eが低下する方向を探索した。1軸、2軸のいずれの歪みについても、圧縮歪みの場合は歪みと平行なm^*が、引っ張り歪みの場合は歪みと垂直なm^*が顕著に低下した。m^*が最も低下したのは[110]方向に1軸圧縮を加えたときで、歪みと平行なm^*/m_e=0.12(歪み量2%)であった。 Si(110)表面反転層価電子サブバンドに及ぼす歪みの効果を解析した。面内[001]方向に圧縮歪み、あるいは面内[110]方向に引っ張り歪みを加えると、第1価電子サブバンドの面内分散における異方性が増加した。しかし、他の面方位と比べて、全般的に歪みの効果が小さかった。有効質量が-番低いのは面内[110]方向であり、m^*/m_e=0.12であった。 Si(557)表面に形成されたPbナノワイヤー配列に生ずる低次元プラズモンを解析した。Pbの被覆度に依存して、少数のサブバンドで構成される帯状電子系の幅が変化することが分かった。 n型InSb表面にCsを吸着させてできる表面2次元電子系(2DES)について、InSbの非放物型分散を組み込んだ局所密度汎関数計算により、走査トンネル分光で得られた2DESのサブバンド端エネルギー、サブバンド分散を定量的に説明することができた。 実験的研究では、2軸引っ張り歪みSi/SiGeについて角度分解光電子分光(ARPES)を用いて価電子状態の精密測定を行い、更にラマン分光にて歪み量の見積りを行った。ARPES測定に必要な表面清浄化の過程で、歪みが緩和することが危惧されていたが、歪みが残っていることが分かった。歪み印加によって、軽い面内有効質量を持つ正孔バンドが重い面内有効質量を持つ正孔バンドより上へつきだすこと、また其々のバンドの面内有効質量も歪みによって変化することが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成22年度は、多忙を極める公務のため、研究が遅延した。しかし、平成23年度には、現代版kp法の計算、および第一原理計算を実行する環境も整い、遅れをかなり取り戻すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに確立した計算手法を用いて、Siのまだやり残している課題に取り組み、さらに同じ計算手法をGeに適用することになる。これらの研究により、Si、Geのバルクバンドおよびサブバンドに及ぼす歪みの効果、また、歪みの効果におけるSiとGeの類似と相違が明らかになるであろう。得られた知見から、狭ギャップ半導体のような他の半導体についても、興味深い歪みの効果が期待されることになるであろう。 これらの研究から、キャリア移動度を向上させるために有利な歪みが明らかになると期待されるが、最終的には、歪みが印加された状態でキャリア移動度そのものを定量的に計算する必要があり、その過程で克服すべき問題に遭遇する可能性がある。
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Research Products
(14 results)
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[Presentation] 熱処理による不純物濃度分布と反転層中の電子状態への影響2012
Author(s)
坂田智裕, 武田さくら, 安田馨, 広田望, Nur Idayu, 田畑裕貴, 松岡弘憲, 森田誠, 手塚勉, 片山俊治, 吉丸正樹, 山谷寛, 大門寛
Organizer
ゲートスタック研究会(第17回)
Place of Presentation
東レ総合研修センター、三島市
Year and Date
2012-01-20
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