2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540375
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
堂寺 知成 近畿大学, 理工学部, 教授 (30217616)
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Keywords | 準結晶 / 物性理論 / ソフトマター / 高分子 / シミュレーション / コロイド / タイリング |
Research Abstract |
(1) 研究課題「ソフト準結晶-準結晶の普遍性と新物性の理論的研究」の第一の目的はソフト/ハード物質に関わらぬ準結晶の普遍性を理論的に考察すること、準結晶は特殊なものではなくどこにでもあり得るものであることを示すことである。結晶形成には引力は必要ではなく、剛体球ポテンシャルで可能であるというAlderらの発見は1957年当時大きな驚きをもたらしたが、本研究では剛体球の外側にステップ状の斥力を付加しただけのハードコア-ソフトシェル模型のモンテカルロシミュレーションを行った。ポテンシャルは極めて単純であるがステップ幅と粒子密度の調整によって、引力なしに2次元12回対称準結晶、正確にいえば長距離配向秩序を持つDodecatic相が生成されることを発見した。この結果はスケールや物質の特殊性に依存せず、一般的メカニズムで準結晶ができることを示したといえ、研究課題の目的を達成した重要な成果である。コアシェルナノ微粒子系またはコロイド粒子系で実験的にも実現可能である。物理学会、次年度の高分子学会、アジア準結晶ワークショップ招待講演などで公表予定である。 (2) 1997年に開設されたSpring-8の主な学術成果(全28件)をまとめた成果集の1つとして研究室で発見された高分子準結晶が取り上げられたが、金属系から高分子に至る2桁も異なる幅広いスケールで正方形-三角形タイリングが観察され、タイルの並び方はさまざまである。これらの構造の違い、乱れ、相転移を調べるために欠陥を利用した正方形-三角形タイル入れ替えシミュレーションアルゴリズムを開発し、相互作用の導入によって高分子準結晶の実験で観察された2つの近似結晶への相分離を再現した。これに関して第11回準結晶国際会議で招待講演した。 (3) 共同実験研究者が線状高分子系で発見した奇妙な5角形のタイリングを有するミクロ相分離構造を解析し、Lavesタイリングの一般化として議論できることを明らかにし、関連する計算機実験を高分子学会研究会で発表した。
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Research Products
(8 results)