2012 Fiscal Year Annual Research Report
スピン密度波型反強磁性秩序によるフェルミ面不安定化の直接的検証
Project/Area Number |
22540382
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Research Institution | 公益財団法人高輝度光科学研究センター |
Principal Investigator |
櫻井 吉晴 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 副主席研究員 (90205815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 真義 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 副主幹研究員 (10344392)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 強相関電子系 / 金属物性 / 超伝導材料・素子 / 物性実験 / 放射線・X線・粒子線 |
Research Abstract |
本研究課題では、スピン密度波型反強磁性を示すCrと鉄系高温超伝導体や銅酸化物高温超伝導体の母物質のフェルミ面形状を明らかにし、スピン密度波型反強磁性の出現によるフェルミ面不安定化現象を直接的かつ定量的に観察することを目的とする。フェルミ面の観察には、Cauchois型X線スペクトロメータを用いた高分解能コンプトン散乱実験と測定データのコンプトン・プロファイルから2次元電子運動量密度を再構成する方法を組み合わせることで実現したフェルミ面マッピング法を用いる。 平成24年度は、銅酸化物高温超伝導体の結果について、第一原理に基づくバンド理論計算との比較を行うことで、フェルミ面形状の評価を行った。具体的には、La2-xSrxCu2O4単結晶試料の(001)面内の独立な10結晶方位のコンプトン・プロファイルから直接フーリエ法により求めた2次元電子運動量密度の解析を行った。同物質は2次元性が強いため、(001)面上に積分投影した電子運動量密度でも、電子状態の特徴は保存されている。解析として、LCW法により電子運動量密度を第1ブリルアン・ゾーンに畳み込むことを行った。常磁性を仮定したブリルアン・ゾーンへ畳み込んで得られた電子占有数密度は角度分解光電子分光などの結果と同様のフェルミ形状を反映した密度分布を示しているが、反強磁性を仮定したブリルアン・ゾーンへの畳み込みで得られた電子占有数密度はゾーン内で平坦になっていることが明らかになった。この結果は、母物質のLa2CuO4は反強磁性によりバンドギャップが生じたバンド絶縁体として理解できることを示唆している。また、アンダー・ドープ領域のホールの電子運動量密度分布にも、反強磁性ブリルアン・ゾーンによる閉じ込め効果が確認されており、銅酸化物高温超伝導体の電子構造は反強磁性の影響を強く受けていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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