2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540394
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
許 宗ふん 九州工業大学, 大学院・情報工学研究院, 准教授 (50325578)
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Keywords | 物性実基礎論 / 自己組織化 / 散逸系 / 液晶 / ノイズ |
Research Abstract |
基礎・応用科学の中で一般的に言われる「ノイズ」というものは、排除すべきものとして、その発生原因やマイナス的効果及び処理手法などが主に研究されてきた。しかし、近年の研究で、ノイズは自然現象の中で必然的な存在であり、ある条件下ではプラス的な効果を引き起こすことが分かった。例えば普通は認知できない微弱な信号に適切なノイズを加えることによって、その微弱信号が検出できる。これは確率共鳴現象として広く知られている。 本研究では、液晶対流系における様々な散逸構造のノイズ応答性を電気光学的手法を駆使して実験的に調べる。その応答性特性を定量的に測定・分析し、その結果から非平衡散逸系におけるノイズ効果による基礎的な知見を構築し、その応用可能性を探ることを目的とした。当該年度の具体的な研究成果は、以下である。 (1)ノイズのみで(液晶対流系の典型的な散逸構造である)Williams domain (WD)を調査し、従来の正弦波による閾値及び空間特性と定量的な比較・分析を行った。WDがカラーノイズに特有な反応を示すことが分かった。 (2)一方、様々な周波数領域で現れる多様な散逸構造(Dielctric chevron, Prewavy pattern, Isotropic mode, defect-mediated chevron,及びdefect-free chevron)のノイズ応答性は、WDと明らかな違いが判明した。その個別なノイズ応答性におけるメカニズムを議論した。 本研究により、ノイズの髭響を避けられない応用分野(脳科学、ナノテクノロジー、変動する光量下の植物生理生態など)においてノイズの新たな可能性を示した。
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