2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22540465
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
伊藤 慎 千葉大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10201930)
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Keywords | セディメントウェーブ / チャネル / 海底谷 / 高流領域 / アンティデューシ |
Research Abstract |
平成22年度は,房総半島中央部の前弧海盆で形成された下部更新統の東日笠層と長浜層,ならびに房総半島南端に発達する海溝底で形成されたと解釈されている鮮新統野島崎凝灰質礫岩層を主な検討対象として,野外調査と露頭データの室内分析を行った.いずれの地層も基本的にはチャネル充填堆積物の特徴を示し,礫岩層の発達で特徴づけられる.今年度の研究では,特に(1)粗粒セディメントウェーブ堆積物内部のマッドクラストのファブリック,(2)粗粒セディメントウェーブ堆積物の大きさの空間的な変化について注目した.また,(3)粗粒セディメントウェーブ堆積物に付随する礫質砂岩層内部のトラクション堆積構造の特徴についても検討した. クライミング形態を示す粗粒セディメントウェーブ堆積物の場合,一見乱雑に配列しているように観察されるマッドクラストには,デューンやリップル堆積物で認められる砂の粒子配列と同様な特徴が認められることが明らかとなった.したがって,検討対象とされた粗粒セディメントウェーブ堆積物の多くが下流進行型のアンティデューンとして形成された可能性が考えられる.露頭スケールでの波長の実測には制限があるため,波高に注目した場合,粗粒セディメントウェーブ堆積物の規模は下流に向かって,さらにはチャネル壁に近くなるほど小さくなる傾向にあることが明らかとなった.これは,混濁流の流速ならびに流れの厚さの空間的変化に対応している可能性が考えられる.粗粒セディメントウェーブ堆積物にともなう礫質砂岩層にはトラクションカーペット堆積物ならびにアンティデューン堆積物の発達が認められる.したがって,このような堆積物の特徴からも,粗粒セディメントウェーブ堆積物が高流領域の下で形成された堆積物であることが理解される.
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