2011 Fiscal Year Annual Research Report
縞状堆積物を用いた浮遊性海生珪藻類の進化過程の高分解能解析
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22540482
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
柳沢 幸夫 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (10358210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 真人 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質標本館, グループ長 (70358381)
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Keywords | 層位・古生物学 / 地質学 / 進化 / 系統進化 / 海洋生態 |
Research Abstract |
この研究は、浮遊性海生珪藻類の進化過程(進化的出現・進化的絶滅現象)を、「年縞」堆積物の特性を生かして1年単位での高時間分解能で解析し、進化の「瞬間」を捉え、そこでいかなる現象が起こったかを明らかにすることである。今年度は、前年度の研究によって佐渡島の中期中新統中山層中で見い出されたDenticulopsis Katayamaeの絶滅層準について、採取した厚さ12cmの泥岩ブロックの詳細な分析を行った。すでに野外において、絶滅層準を層厚2cmまで絞り込んでいたので、室内ではこの2cmの区間について精密な珪藻分析を行った。その結果、D.Katayamaeの絶滅層準は縞状の部分ではなく、部分的に生物優乱作用を受けた縞状堆積物から強く生物優乱作用を受けて無層理となった部分の境界部分に存在しており、絶滅に至る過程を縞1枚ごとに精密に追及することはできなかった。しかし、群集全体としては、絶滅層準に向ってD.Katayamaeが急減してゆくこと、そしてそれに代わって、Actinocyclus属に属すると思われる小型の円心目珪藻種が急増することが判明した。したがって、何らかの環境変化に伴う珪藻群集の劇的な変化がこの絶滅層準で起こっていた可能性が高いことは明らかとなった。このActinocyclus属の種については、種名が不明であるので、形態観察を進めて分類学的検討を行っている。年度後半では、Denticulopsis okunoiの絶滅層準をターゲットとして、富山県八尾地域に分布する三谷泥岩部層の縞状珪藻質泥岩を採取した。持ち帰った試料を処理し、現在その分析を進めている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
東日本大震災によって実験室や分析機器を大きな被害を被り、試料の処理や分析ができずに、研究が遅延してしまった。また、平成23年度の野外調査と試料採取を予定していた宮城県東松島市が津波で大被害を受けたため、予定していた調査ができなかったことも、研究が遅れた原因の1つである。
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Strategy for Future Research Activity |
大震災による研究の遅れを取り戻すのは難しいと思われるので、研究期間内に確実な成果があげられるように、予定していた研究材料を絞り込んで実施したいと考えている。
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Research Products
(3 results)