2011 Fiscal Year Annual Research Report
高強度超短パルスレーザーによって駆動された電離波の構造と安定性に関する理論的研究
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22540512
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
加藤 進 独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 主任研究員 (20356786)
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Keywords | プラズマ・核融合 / 原子・分子物理 / 電離波 / 高エネルギー電子 / 高強度レーザー / 電離過程 / 遷移過程 |
Research Abstract |
高強度レーザーを用いた粒子加速や高速点火核融合では,レーザーとターゲットとの相互作用によって発生した大電流密度の高エネルギー電子ビームが中性媒質中を伝播する.この時に生成される電場によって中性媒質は急速に電離する.プラズマが生成されると,その分極によって静電場は遮蔽される.一方,プラズマ電子が加熱されることにより,衝突過程による電離がすすむ。このような過程で,中性媒質からプラズマへの遷移過程で励起された電離波が,プラズマへの発展を支配し,最終的な粒子のエネルギー,量,品質を決定する大きな役割を担っている.本研究の目的は,このようなプラズマ生成すなわち電離過程に伴う複雑な現象を理解することである, 本申請研究では,高エネルギー電子の伝播と電離波を記述する運動論に基づいたモデルを構藻し,シミュレーションによる電離波の構造,安定性,及びその高エネルギー電子伝播への影響を解明する. 高エネルギー電子ビームの中性媒質中での伝播は,それ自身が励起した電離波によって影響を受けるが,本研究では電子を電子ビームを構成する高エネルギー電子と媒質の電離によって生成された2次電子の2つの成分に分離し,高エネルギー電子ビーム成分は電離波によって受けないと近似を用いる.電離の素過程として,静電場による直接電離にはLandauモデル,背景電子による衝突電離には放電モデルで広く利用されるBoltzmann方程式に基づくモデルを用いることにより,電離波面の1次元的な構造を背景物質の電離係数と衝突周波数のみに依存する形で決定した.例として,高密度ネオンを用い,その構造を支配する電離過程と電子ビーム密度の関係を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電離を支配する素過程をモデル化することにより,マクロなパラメータを用いた媒質の電離によって生成された2次電子に対するモデルの構築し,電離波の1次元的な構造を決定した.電子ビームの伝播方向に垂直な摂動を考慮することにより,その安定性の理論的に議論できるモデルになっている.
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Strategy for Future Research Activity |
求めた電離波の構造の安定性の議論を行う.また,絶縁体等の固体に特有なマクロな物性値についてのモデル化の検討も行う.
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Research Products
(3 results)