2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22550017
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
瀧上 隆智 九州大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (40271100)
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Keywords | 表面凝固 / 分子混和性 / ドメイン形成 / 表面剰余エントロピー |
Research Abstract |
本研究では、表面凝固(SF)層形成に伴い出現が期待されるドメイン構造に着目し、その形成原理・安定性を決める因子を解明することを目的としている。今年度は、2種類の直鎖状アルカン混合系、ヘプタデカン(C17)-オクタデカン(C18)およびフルオロオクチルデカン(F8H10)-C18混合系、に対して表面張力測定による巨視的観点と赤外外部反射スペクトル(反射IR)測定による微視的観点から、SF層形成および表面における分子混和性の検討を行った。 両混合系の液体/空気表面張力を、液滴画像のラプラス式を用いたフィッティングにより決定する懸滴法により、また反射IRも大気圧下、温度と混合液体中のC18の組成の関数として測定を行った。得られた結果の解析から界面科学的に重要な以下の知見を得た。 (1)表面形成のエンロトピーは表面液体(SL)層-SF層転移に伴い正の値から大きな負の値へと不連続に変化し、SF層における分子の規則的な配向が強く示唆された。 (2)反射IR測定によるメチレンおよびフルオロメチレンの非対称伸縮振動バンドの吸収波数からは、C18分子はSF層において2次元固体様の密なパッキングにあるが、F8H10分子は、分子の断面積の違いを反映してフルオロカーボン(FC)鎖部分は密充填するが、その直下のハイドロカーボン(HC)鎖部分は鎖間に隙間のある緩やかなパッキングであることを突き止めた。 (3)さらに、表面剰余エントロピーは、C17-C18系のSFおよびSL両層ではほぼ0であり、両者が理想的に混和するのに対し、F8H10-C18系のSF層ではやや正であるがSL層では負の値となった。この結果は、FC-HC鎖間の弱い相互作用とSL層におけるF8H10分子のドメイン形成により合理的に解釈することが出来た。
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