2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22550053
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 伊佐務 東北大学, 金属材料研究所, 技術補佐員 (20005987)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山村 朝雄 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (20281983)
李 徳新 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (40281985)
梶原 孝志 奈良女子大学, 理学部, 教授 (80272003)
|
Keywords | ウラン錯体 / f1、f3電子配置 / 一軸対称性 / 配位子場分裂 / β-ジケトン、フタロシアニン |
Research Abstract |
一軸対称性の配位子場をもつウラニルV価錯体は酸化や不均化などにより調製が困難である。我々はウラニルVI価β-ジケトン錯体溶液を電解還元することにより、ウラニルV価β-ジケトン錯体を調製することに成功した。この方法は広範な錯体に適用可能であり、3種類のβ-ジケトン配位子を用いた錯体において、結晶構造の決定に成功した。それぞれウラン周りの配位構造はVI価錯体の場合と同様でウラニルイオンを軸とした五方量錐構造であり、ウラニルイオンのウラン-酸素原子間の結合距離はVI価イオンに比べて、0.08~0.1A長く、ウラニルの結合角(0-U-0)はほぼ同程度(約180°)であった。ジベンゾイルメタン(DBM)配位子を用いた場合において、アクチニル陽イオンに見られるカチオン-カチオン構造をとり、そのような構造の中でも例の少ないウラニルV価イオンが平行に配位した2量体構造を取ることがわかった。このDBM錯体の最近接ウラン間距離は3.48Aであった。ジビバロイルメタン(DPM)やベンゾイルピバロイルメタン(BPM)を配位子とした錯体では単量体であり、錯体分子間でカチオン-カチオン相互作用を示さない。カチオン-カチオン相互作用はアクチニル陽イオンのエカトリアル面への陰イオン配位子の配位によるアクチニル陽イオンの軸方向酸素原子のルイス塩基性の増大に起因すると考えられており、3種類のβ-ジケトン配位子の塩基性との関係から興味深い結果である。
|
Research Products
(15 results)