2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22550085
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
手嶋 紀雄 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (30292501)
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Keywords | ダイエット / 呼気分析 / アセトン / イソプレン / 吸光光度法 / 蛍光光度法 / フローインジェクション分析 |
Research Abstract |
ダイエット指標あるいは食事療法のモニターとして有効と考えられる呼気アセトンと呼気イソプレンの定量法の確立を目指し,本年度は,以下の成果を得た。 1.アセトンの吸光光度法:前年度までに,強塩基性下でアセトンとサリチルアルデヒドをアルドール縮合させるアセトンの吸光光度法ならびに蛍光光度法を開発してきた。しかしいずれも5mol/Lを超える水酸化ナトリウム水溶液を用いるため,今年度は,次に示すより温和な反応系を用いることとした。すなわち,アセトンは硫酸ヒドロキシルアミンと縮合し,アセトンオキシムを生成する。この際,硫酸ヒドロキシルアミン濃度はアセトン濃度に比例して減少する。残存する硫酸ヒドロキシルアミンは,鉄(III)-1,10-フェナントロリン(phen)錯体を還元し,赤色の鉄(II)-phen錯体(λmax=510nm)を生成する。つまり硫酸ヒドロキシルアミンがアセトンにより消費されるので,この赤色錯体の510nmにおける吸光度は,アセトン濃度に対応して定量的に減少する。この反応系をフローインジェクション分析(FIA)システムに導入し,ppmレベルのアセトンの定量法を開発した。 2.イソプレンの蛍光光度法:以下の原理によるイソプレンのFIA法を開発した。イソプレンはオゾンと反応し,ホルムアルデヒドを生成する。ホルムアルデヒドは,ジメドンと反応し蛍光誘導体(λex=395nm,λem=463nm)を生成する。この誘導体の蛍光強度がイソプレン濃度に比例することを確認した。 以上はイソプレン水溶液を用いる検討であり,これをイソプレンガスの分析に応用するため,イソプレン標準ガスを拡散スクラバー(DS)に導入して,DS内の吸収液(水)をFIA法に導入してイソプレンガスの定量を試みたが,目標とする数百ppbvレベルの定量は達成されなかった。しかしイソプレンガスの水への溶解性を高めればよいという改善点が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
呼気アセトン分析法に関しては,強塩基性下のアルドール縮合反応を利用していたが,5mol/Lを超える水酸化ナトリウム水溶液を用いるため,より温和な条件によるアセトンの新規な吸光光度法に切り替えたことにより,重力滴下法によるアセトン標準ガス発生法の検討に遅れが生じた。しかし,呼気イソプレン分析法に関しては,計画を前倒しし,オゾン酸化反応を用いることにより,イソプレン濃度に比例した蛍光強度が得られ,一定の成果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
アセトン標準ガス発生法の確立を急ぐ。この元となる技術は申請者が開発した重力滴下法(分析化学57(2008)605)を用いることができる。イソプレンの自動化学分析法に関しては,パーミエーションチューブによるイソプレン標準ガス発生法を確立する。また,目標とする数百ppbvレベルのイソプレンの定量感度を達成するために,吸収液にアセトニトリルを混合することにより,イソプレンの溶解度を上昇させ,定量感度の向上を図る。
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Research Products
(10 results)