2010 Fiscal Year Annual Research Report
炭素-水素結合の切断を経る革新的アリールカップリング反応の開発
Project/Area Number |
22550093
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大井 秀一 東北大学, 環境保全センター, 教授 (00241547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 徹雄 東北大学, 環境保全センター, 助教 (70369924)
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Keywords | カップリング / 遷移金属錯体 / 炭素水素結合 / 均一系触媒 / 炭素炭素結合形成 |
Research Abstract |
遷移金属触媒によって不活性な芳香環のC-H結合から新たにC-C結合を形成する反応は、有機合成化学上非常に興味深く有用な手法である。本研究課題では、アリールピリジン類どうしのC-H結合の切断と新たなC-C結合の形成を伴ったホモカップリング反応に関して、効率よく反応が進行する条件と本反応におけるアリールピリジン類の適用範囲の検討を行った。 具体的には、まず、触媒としてルテニウム錯体[RuCl_2(cod)]_n、配位子としてトリフェニルホスフィン、塩基として炭酸カリウム、溶媒としてキシレンを用いて、反応温度150℃、反応時間20時間の条件で、2-(o-トリル)-2-フェニルピリジンのホモカップリング反応における添加物の効果について検討した。この結果、水素捕捉剤として1,2-ジクロロイソブタンと酢酸を合わせて用いた際に23%の収率で目的のホモカップリング生成物が得られた。そこで、触媒を[RuCl_2(η^6-C_6H_6)]_2に、溶媒をメシチレンにかえたことろ、収率は74%と大きく向上した。さらに溶媒として種々の芳香族性溶媒を検討したところ、アニソールおよびtert-ブチルベンゼンを用いた際に副反応が進行することなくホモカップリング生成物が高い収率で得られることが分かった。 この最適条件下、様々な置換基を有するアリールピリジン類を検討した結果、置換基の位置や電子特性に関わらず、総じて反応は効率よく進行することが分かった。m-位に置換基を有する基質では3種類の位置異性体の生成が懸念されるが、このとき立体障害のより小さな6-位のC-H結合同士のカップリングが優先して進行し、従来の触媒系に比べて選択性が大きく向上することを見出した。
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