2012 Fiscal Year Annual Research Report
水中のアニオンを高選択に認識する超分子センサーの開発
Project/Area Number |
22550119
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
宮地 秀和 岐阜大学, 工学部, 准教授 (40531158)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2015-03-31
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Keywords | センサー / アニオン認識 / 超分子化学 / カリックスピロール / 分子カプセル / ピリジン / 自己組織化 |
Research Abstract |
特定のアニオンを高選択に認識させるため、カリックス[4]ピロールにピリジンを置換したアニオンレセプターを合成し、Pd(II)と配位結合させ、約10オングストロームの籠状分子からなる超分子アニオン認識場を形成させた。この籠状分子のサイズにフィットしたアニオンの選択性を検討するため、炭素鎖の長さが10オングストローム付近の二酸アニオン(TBA塩)の滴定実験を1H NMRを用いて行ったところ、炭素数8、炭素数9の二酸アニオンではNHプロトンのシグナルが低磁場シフトしたことから、籠状分子にアニオンが認識されることが示された。特に炭素数8の二酸アニオンに対してはホスト:ゲスト=1:1で強く結合することがJob plotより確認された。炭素数9の二酸アニオンに対しては、ホスト:ゲスト=2:1とホスト:ゲスト=1:1の平衡が示唆された。 一方、長さが短い炭素数6、炭素数7の二酸アニオンおよび酢酸アニオンでは籠が分解することが分かった。このことから籠状分子のサイズにフィットした二酸アニオンを認識することで籠状分子が安定化していることが見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カリックス[4]ピロール籠状分子を形成させ、籠のサイズ(約10オングストローム)にフィットした炭素数8の二酸アニオンの高選択的な認識に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、アニオン認識場を有する新規分子の合成を進めると共に、これまでに合成した色素や蛍光物質を導入した超分子アニオンセンサーの吸収スペクトル、蛍光スペクトルを用いた定性、定量分析により、高選択的な微量アニオンの検出が可能か検討する。
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