2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト由来PGD合成酵素の金属イオンによる活性化機構解明のための中性子線構造解析
Project/Area Number |
22550152
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 豪 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20263204)
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Keywords | 中性子線構造解析 / プロスタグランジンD合成酵素 / 反応メカニズムの解明 / 結晶の大型育成 |
Research Abstract |
本研究では、アレルギー伝達物質であるプロスタグランジン(PG)D_2の産生を担うヒト由来造血器型PGD合成酵素(H-PGDS)の活性中心に存在するグルタチオン(GSH)をチオラート化によって活性化させる分子機構について、中性子線解析により原子レベルで解明し、GSHを活性中心に持つGSTファミリーに共通の反応機構の解明を目指すことを目的としている。通常、中性子構造解析のためには1mm角を超える大型の高品質結晶が必要となるため、23年度は、22年度に引き続き、H-PGDSの大量精製、ミクロ種結晶化法、マクロ種結晶化法を駆使した種結晶化を繰り返し、大型結晶育成のための結晶化実験に取り組み、最大で0.3×0.5×1.5mm程度の大型結晶の育成に成功したが、ほとんどの結晶が種結晶化を繰り返すうちに結晶のモザイク性が大きくなることが一般的なX線回折実験により明らかとなり、中性子線回折実験には至らなかった。別途、標準サンプルであるリゾチームなどを用いて開発を行っている撹拌技術やゲルチューブ法を駆使した大型結晶育成実験も試みてはいるものの、いずれもモザイク性の高い結晶が得られ、種結晶化の回数が少なくても済むような結晶化条件の検索を行っている。 一方、阻害剤との複合体を形成すれば標的タンパク質の活性部位の構造を安定化でき、良質の結晶が得られると考え、いくつか阻害剤複合体を作製し、構造解析を試みると同時に阻害活性との相関についても追究し、欧文誌による論文報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
中性子線回折用の大型結晶の作製が非常に困難で、大型結晶の育成実験に成功(厚みが0.5mm,大きさが2.0mを超える)しても、何度か種結晶化を繰り返すうちに結晶のモザイク性が増大し、ほどんどの結晶が中性子回折実験に不適な結晶となり、進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
一般的な標準サンプルを用いて大型結晶育成に関するツールの開発も別途進めている。それらツールを用いた結晶育成を行うと同時に、育成途中の結晶を用いて強力な放射光のX線も用いた超高分解能での構造解析も進め、活性化メカニズムの解明を目指す。
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Research Products
(5 results)