2012 Fiscal Year Annual Research Report
銅イオン輸送タンパク質として発見したキャディによるチロシナーゼ活性化の分子機構
Project/Area Number |
22550153
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉山 政則 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (30106801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
的場 康幸 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 准教授 (90363051)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | チロシナーゼ / メラニン生成酵素 / 銅イオン / 放線菌 / タンパク質 / ラマンスペクトル / 吸収スペクトル |
Research Abstract |
チロシナーゼは、二核銅含有の酵素であり、L-チロシンからL-ドーパキノンへの変換を触媒する。放線菌チロシナーゼは、キャディと名付けたタンパク質との複合体の状態で合成され、キャディによってチロシナーゼ活性中心へ銅が輸送された後、キャディは複合体から解離し凝集する。前年度までに、キャディによるチロシナーゼへの銅輸送機構を解明することに成功した。しかしながら、銅輸送の完了後、いかにしてキャディがチロシナーゼから解離するのかという疑問は、不明のまま残されている。チロシナーゼは、タンパク質の分子表面にあるチロシン残基を反応性の高いドーパキノンに変換することにより、タンパク質の凝集を促進するとの報告がある。ただし、チロシン残基をドーパキノンに変換するためには、チロシナーゼに結合した銅が還元され、さらに、分子状酸素と結びつくことにより、オキシ型チロシナーゼが形成される必要がある。 本年度は、チロシナーゼ・キャディ複合体中でオキシ型を形成させた後の変化を、吸収スペクトル、ラマンスペクトルおよび質量スペクトルを測定することで解析した。反応開始直後には、オキシ型チロシナーゼに特徴的な350 nmの吸収ピークが現れた。しかしながら、このピークは時間の経過とともに減少し、400 nmの吸収ピークが顕著となった。質量スペクトル解析からは、チロシナーゼの活性中心に隣接している、キャディのTyr98残基が酵素反応を受けることが示された。また、ラマンスペクトル解析からは、350 nmの吸収ピークがμ-η2:η2-パーオキソ種に由来することと、400 nmの吸収ピークがCu(II)と結合したドーパセミキノンに由来することが示唆された。これらの知見から、キャディのTyr98残基が反応性の高いドーパキノンに変換されるため、キャディの凝集が引き起こされると結論付けられる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)