2010 Fiscal Year Annual Research Report
アニオンドープによりバンド制御した鉄・銅系酸化物半導体光触媒の研究
Project/Area Number |
22550188
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Research Institution | Toyota Central R&D Lab., Inc. |
Principal Investigator |
森川 健志 株式会社豊田中央研究所, 先端研究センター・先端研究統括室・連携研究部門・光エネルギー貯蔵プログラム, 主任研究員 (70394666)
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Keywords | 光触媒 / 窒素ドープ / 酸化タンタル / 酸化銅 / 酸化鉄 / 光電流 / p型半導体 / スパッタリング |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画は、1.我々が開発した、p型半導体特性を有するNドープCu_2OおよびNドープTa_2O_5膜の光触媒的な水素生成能力を明らかにすること、2.FeやCuを含む酸化物へ第三元素を導入した半導体光触媒の合成に着手すること、であった。 研究の結果、1.では、透明電極ATOでコートされたガラス基板上に、これらの半導体膜を生成するための、スパッタリング電力およびN_2/Ar導入比、及びポスト熱処理温度および雰囲気などの最適条件を導出した。また水溶液中においてこれらの膜の光電流-電圧および光電流-時間測定を行い、その光電流プロファイルと値から光水素生成能力を比較検討した。その結果、-0.4V vs Ag/AgClのバイアス条件下において助触媒無しでの水素生成能力はN-Cu_2OがN-Ta_2O_5よりも5倍以上高い事を明らかにした。また2.においては、hematite-Fe_2O_3にNをドーピングする事により光カソード電流を発現し、p型半導体となることを新たに見いだした。最適な合成条件を検討した結果、最も高い光電流を示すサンプルのキャリヤ濃度は約2x10^<18>cm^<-3>と、p型Fe_2O_3として有名なZnドープFe_2O_3における論文報告値の約半分であり、同レベルの材料であることを明らかにした。バンドギャップは2.OeV、伝導帯最下部の位置は-0.9V vs Ag/AgClであり、また膜の表面にPt助触媒を坦持することによって、-0.4V vs Ag/AgCl条件下で光電流値の増大が観察された。これらの結果から、N-Fe_2O_3は、適度なバイアス条件下で光による水分解H_2生成、CO_2還元しての有機物合成反応に適用可能なことを明らかにした。発明考案を1件出願し、また論文を、Appl. Phys. Lett.に投稿中である。
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