Research Abstract |
ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)水分散液にポリ(4-スチレンスルホン酸)(PSSH,M_w=7,5000)を混合したフィルムを新たに作製した。電導度はPSSH添加量の増加とともに約100S/cmから0.9S/cm(PSSH=90%)に低下した。これはPSSHの増加とともに電気伝導を担うPEDOTの割合が少なくなったためと考えられる。引張試験の結果から,PSSHの増加とともにヤング率および切断強度はわずかに低下し,切断伸度はほぼ一定であった。また,PSSH=90%のフィルムは非常に脆く,引張試験を行うことができなかった。PSSHの添加によりフィルムの最大電気収縮率は増大し,PSSH=70%,エチレングリコール濃度10%の条件で作製したフィルムは,印加電圧20Vで最大約5%(従来値2.4%の2倍以上)に達することがわかった。次に,PSS濃度が70%になるように対イオンと分子量の異なるPSSを添加したフィルムを作製し,電気収縮挙動を検討した。PSSHではフィルムが徐々に伸びていくクリープ現象が見られたのに対し,PssNa,PssLi,PSSNH_4(M_w=200,000)ではクリープがほとんど見られず,優れた寸法安定性を示すことが明らかになった。一方,PSSH(M_w=75,000)ではフィルムが徐々に縮んでいくことがわかった。さらに,フィルムの最大収縮速度はPSSの種類に依存せず同程度であるのに対し,電圧を切った際の最大伸長速度はPSSHとPSSNH_4のフィルムで速く,PSSNaやPSSLiのフィルムでは遅くなることがわかった。
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