2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22550195
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古賀 毅 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80303866)
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Keywords | 会合高分子 / レオロジー / 組み替え網目理論 / 分子動力学シミュレーション / 法線応力効果 / ナノ粒子 / クレイナノコンポジットゲル / 弾性 |
Research Abstract |
平成23年度は,次の2つの研究を行った. (1)クレイナノコンポジットゲルの弾性的性質 昨年度開発したクレイナノコンポジットゲルに対する疎視化分子シミュレーションプログラムを用いて,クレイナノコンポジットゲルの構造と弾性的性質の研究を行ったクレイ濃度,高分子濃度,水素結合強度を変えてゲルの構造解析を行い,クレイ表面への高分子の吸着形態とゲルの構造の関係を解析した.また,一軸伸長下での力学応答の計算を行った.この結果,クレイ表面に吸着していた高分子鎖が伸長により剥がされることにより,高伸長性が発現していることが分かった. クレイナノコンポジットゲルの高弾性・高伸長性の分子論的起源に関しては,実験的に多くの研究が行われているが,本研究で得られたゲルの構造と弾性的性質の関係は,その分子機構を解明するのに必要不可欠な情報なので,これらの結果は非常に重要である. (2)PNIPAM鎖の感熱性が粘弾性的性質に及ぼす影響 クレイナノコンポジットゲルではクレイ間をpoly(N-isopropylacrylamide)(PNIP細)が繋いでゲルを形成しているので,PNIPAM鎖の感熱性が粘弾性挙動に与える影響を検討した.具体的には,両末端疎水化PNIPAM (tel-PNIPAM)水溶液のレオロジー的性質を,PNIPAMの感熱性を考慮して組み替えネットワーク理論を拡張し,理論的に研究した.この結果,実験結果(温度上昇による弾性率と緩和時間の減少,急激なシア・シックニング現象など)を拡張した組み替え網目理論により定量的に記述できることが分かった. 両末端疎水化高分子のレオロジーはこれまで数多く研究されてきたが,ミドル鎖の感熱性を取り入れた研究はなく,本研究の成果は画期的である.また,本研究で得られた知見は,今後クレイナノコンポジットゲルの弾性挙動の温度変化を理論的に記述する際に極めて有用である、
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,「組み替えネットワーク理論」と分子シミュレーション法をナノ粒子が分散した高分子系に適用し、ナノ粒子分散高分子系において発現する特徴的な粘弾性的性質((1)ナノコロイド分散系への会合高分子添加のよる粘性調節,(2)ナノコンポジットゲルにおける高強度,高延伸性)の分子機構を解明することを目的としたが,(1)に関しては,理論・シミュレーションの両面で既に精度の高い研究成果が得られており,また(2)に関してもほぼ当初の予定通りシミュレーション結果が得られており,順調に研究が進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
現在まで順調に研究が進展してきたので,今後は次の点に留意して進めていきたい. (1)これまで得られた研究成果を論文などの形で公表していく.特に,第1番目の目標としていた「球状ナノ粒子分散系の会合性高分子添加によるレオロジー制御」に関しては,理論・シミュレーションの両面で精度の高い研究成果が蓄積されているので,今後は論文などの形で研究成果を発表していく. (2)2番目の目標としていた「ナノコンポジットゲルの高性能弾性挙動の発現機構の解明」に関しては,シミュレーション結果が順調に得られているので,今後は,シミュレーションにより更に精度の高いデータを得ると同時に,理論的研究も進めて,研究を完成させる.
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Research Products
(6 results)