Research Abstract |
Er_2SiO_5のEr-Er間エネルギー移動に起因するエネルギーマイグレーション(EM),協働アップコンバーション(CUC)を評価するために,Er_xY_<2-x>SiO_5結晶をゾルゲル法で作製し,Y濃度の増加(Er濃度の減少)による1.54μm発光強度および蛍光寿命の変化を観測した。その結果,Er濃度の減少に伴い発光強度の増加と蛍光寿命の増加が連動して生じ,x=~0.1(Er~1×10^<21>/cm^3)で発光強度が最大(×30),蛍光寿命が元々の20μsに対して~1msの値が得られた。Er_2SiO_5の結晶性はほぼ維持されている。この結果は,EMの抑制によるものである。Erを不純物としてドーピングした試料では,~1×10^<19>/cm_3以上で濃度消光が生じるのに対し,Er_xY_<2-x>SiO_5結晶(x=~0.1)では,1桁から2桁高いEr濃度でも濃度消光を示さず,強い1.54μmの発光が得られる。さらに,結晶性を高めたEr。Er_xY_<2-x>SiO_5を得るために,PLD(Pulsed Laser Deposition)法,RAS(Radical Assisted Sputtering)法による結晶膜の作製を試み,ゾルゲル法による膜より良質のEr_xY_<2-x>SiO_5結晶を得た。平成23年度の研究計画にある種々の希土類イオンシリケート作製の予備的実験として,Er_xYb_<2-x>SiO_5,Er_xYb_y_Y_<2-x-y>SiO_5,Er_xLa_<2-x>SiO_5を作製した。Er_xYb_<2-x>SiO_5では,x=0.1でEr_2SiO_5と比較して×200の1.54μmの発光強度の増加が得られた。Er-Er間のEM抑制とともに,Yb→Er-のエネルギートランスファーの相乗効果によると考えられる。Er_xY_<2-x>SiO_5結晶(x=~0.1)膜を用い,光導波路を作製し高密度光入力による光導波特性を観測し,CUCが大きく抑制されることも確認した。
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