2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22560011
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
三浦 康弘 桐蔭横浜大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (20261159)
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Keywords | 分子超薄膜 / 広域的超伝導 / 原子間力顕微鏡法 / フーリエ変換赤外分光法 / 多結晶質 / フォトリソグラフィー / 電気抵抗 / Langmuir-Blodgett(LB)膜 |
Research Abstract |
研究代表者は、平成22年度迄に、2C_<14>-Au(dmit)_2塩に基づくLB膜の成膜条件を改良し、これにより、室温で70-140S/cmという高い電気伝導度を得ることに成功している。平成23年度には、さらなる成膜条件の改良に取り組むと共に、このLB膜の常圧下の電気抵抗挙動を詳しく検討した。 シリコンウェーハー、ガラス、石英、及びPETフィルム基板上に、フォトリソグラフィー(リフトオフ法)を用いて5ミクロン幅のギャップを持つ電極を、金、及び白金を用いて形成し、この電極パターン上に2C_<14>-Au(dmit)_2塩の膜を水面から移行し、過塩素酸リチウム水溶液中で電解酸化した。 ガラス、石英、及び、シリコンウェーハーを基板として用いた場合、電極幅を5ミクロンに狭めているにも関わらず、抵抗には金属的挙動が見られず、全温度域で活性化型の挙動が観測された。しかしながら、基板にPETフィルムを用いると、室温~180Kの温度範囲に金属的な挙動が見られた。ガラス、石英、及びシリコン等の無機材料とLB膜の冷却時の収縮率には大きな差があると考えられるが、PETフィルム基板とLB膜のそれは非常に近いと考えられる。このため、冷却の際、膜に加わる歪みが少なく、結晶粒界や欠陥の影響が小さいと解釈している。 平成24年度には、種々の基板(シリコンウェーハー、ガラス、石英、及び、PETフィルム)上にLB膜を累積し、LB膜と基板の収縮率(冷却時、及び加圧時)の差を利用して、LB膜に加える圧力の異方性を制御する予定であるが、平成23年度には、その準備段階として、LB膜の加圧に適した媒体の探索を行なった。その結果、フロリナート、及びフォンブリンオイル中で、LB膜が非常に安定であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
圧力下の電気抵抗測定に関する結果が得られていないが、本研究については、試料の作製条件の最適化が鍵を握っており、これが平成23年度中に達成できている。また、加圧下の測定を行うための準備(圧力セル、フィードスルーの作製、及び圧力媒体の選択)も終わっている。これらにより、最終年度に、予定していた実験をすべて行うことができると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね、申請時の計画通りに研究計画を遂行する予定である。加圧、及び冷却時の収縮率の小さい基板(ガラス、石英、シリコンウェーハ)、及び収縮率が大きい基板(PETフィルム基板)を用いて、これらの基板上にLB膜を累積し、加圧・冷却時のLB膜の異方性を制御する、という観点から、圧力誘起超伝導相を探索する。また、バルクの単結晶を構成する分子系よりも自由度の大きい構成要素を分子系を用いるため(アルキル鎖を有する)、冷却速度も精密に制御する予定である。
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Research Products
(10 results)