2010 Fiscal Year Annual Research Report
耐熱ガスバリア膜を用いたガスケット材料の熱酸化特性の向上
Project/Area Number |
22560083
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
米倉 大介 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (70314846)
|
Keywords | ガスバリア / 熱酸化劣化 / ガスケット / スパッタリング / 薄膜 |
Research Abstract |
平成22年度はガスケット用ゴムシートへの均一なSi-O-N膜のコーティング方法の開発を目的とし,表面研磨および表面化学処理が薄膜の被覆率向上に与える効果を検討した.これにより,ガスケット用ゴムシートのような粗い表面をもつ基板材料への被覆率の向上を目指した.また,熱酸化劣化の抑制効果が発現する条件のしきい値を検討した.まず,ダイヤモンドサスペンションおよびコロイダルシリカを用いてガスケット用ゴムシート表面の研磨を行い,AFMにより表面状態を観察した.その結果,ゴム部が優先的に研磨されるのに対し,繊維部は研磨されにくく,表面粗さを改善できないことがわかった.また,液適法による表面自由エネルギの評価も行ったが,研磨条件の違いによる差異は認められなかった.次に研磨したゴムシート上にdcマグネトロンスパッタリング装置を用いてガスバリア膜を成膜しても表面粗さは改善されず,くぼみ部分が残ったままであった.また,成膜時間を調整して膜厚をそれぞれ30, 60, 120, 180nmとなるようにガスバリア膜の成膜を行ったところ,膜厚の増大にしたがって膜の表面粗さはむしろ増大することがわかった.表面状態を詳しく検討した結果,基板表面に存在するくぼみ部分では膜が薄くなり,成膜時間の増加に従い基板の粗さを拡大するように膜が被覆されることがわかった.したがって,研磨および膜厚の増加によって均一な厚さで被覆することが困難であることがわかった.マッフル炉を用いて大気中,160~180℃,6~24時間の条件で各試験片を加熱し,熱酸化劣化を生じさせた.その後,引張試験や断面観察により熱酸化劣化の度合いを評価した.その結果,ガスバリア膜が均一な厚さで被覆されていなくても170℃まではガスバリア膜による熱酸化劣化の抑制効果が現れること,ガスバリア膜が厚いほど効果が高いことを明らかにした.
|
Research Products
(1 results)