2010 Fiscal Year Annual Research Report
成膜後レーザ焼入れ処理によるセラミックス被覆鋼の高機能化に関する研究
Project/Area Number |
22560087
|
Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
田邉 裕貴 滋賀県立大学, 工学部, 准教授 (00275174)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 圭二 滋賀県立大学, 工学部, 助教 (80405232)
|
Keywords | 機械材料・材料力学 / 長寿命化 / トライボロジー / 表面改質 |
Research Abstract |
本研究課題では,これまで成膜後基板焼入れ処理において実施してきた電気炉による「炉焼入れ」の替わりに「レーザ焼入れ」を採用した新しい表面改質手法として「成膜後レーザ焼入れ処理」を提案し,本手法によりセラミックス被覆鋼のさらなる高機能化を実現することを具体的な目的とする.本目的を達成するために,平成22年度は,成膜後レーザ焼入れ処理に関する基礎研究として,損傷や変形を生じることなくセラミックス被覆鋼の高機能化を図ることが可能なレーザ焼入れ条件について検討した.基板には炭素工具鋼を使用した.薄膜にはTiN薄膜,TiAlN薄膜,CrN薄膜,およびCrAlN薄膜の4種類を用いた.レーザ焼入れには,YAGレーザ加工機を使用した.レーザ照射条件として,レーザの出力,スポット径および走査速度を種々に変化させた.その結果として,まず,いずれのセラミックス被覆鋼についても,適切な条件でレーザ照射を行うことにより,薄膜を損傷させることなく基板のレーザ焼入れが可能であることがわかった.特に,熱吸収率の最も高いCrAlN被覆鋼は,他と比較し低エネルギで良好なレーザ焼入れが可能であることがわかった.さらに,いずれのコーティング鋼についても,炉焼入れの場合と同様に,レーザ焼入れ処理により密着強度を大幅に向上させることが可能であることがわかった.成膜後に炉焼入れ処理を実施すると,その加熱過程において膜硬さが低下するが,レーザ焼入れ処理では,膜硬さを低下させることなく,基板の焼入れが可能であることもわかった.これらの結果より,成膜後レーザ焼入れ処理によって,寸法精度や膜硬さの低下といった炉焼入れによる成膜後基板焼入れ処理の問題点を克服し,さらに基板硬さと密着強度を簡便かつ効果的に向上させることが可能であることを明らかにした.
|
Research Products
(2 results)