2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造化DLCコーティング膜の力学特性とそのMEMS応用
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22560089
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
相澤 龍彦 芝浦工業大学, デザイン工学部, 教授 (10134660)
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Keywords | ナノカラム構造化 / DLCコーティング / 金属ドーピング / AFM / プラズマエッチング / マイクロパターン / ナノプリント / EB |
Research Abstract |
本年度は当該研究の2年次にあたり、H22年度の成果を踏まえて、以下の3つの方向で研究を進めた。 なお、実験設備に関しては、既存のRFスパッタリング装置を用いて、シリコン基材上に出発となるアモルファス・カーボン膜を作製し、既設のEB装置を用いてナノカラム構造化を進めた。H22年度から研究に参画している、芝浦工業大学・大学院・後期課程学生・Foo Jin Hoe君および前期課程学生・湯川聖君が、すでに系統的な実験で、ナノカラム成立条件などを明らかにしており、本年度はこの成果をベースに研究を進めた。第1は、AFM/SPMによるナノカラム力学特性に関する系統的な研究であり、プロセスパラメータ依存性にも留意して実験を行った。その結果、ナノカラムDLC構造のナノ表面として、ナノカラム径を周期とした表面パターンが得られることがわかった。この表面構造もナノカラムDLCのゴム状弾性応答と関連している。第2は、金属ドーピングによるナノカラム構造化膜の安定性も調査し、高温でのナノカラム構造化の特性も合わせて検討した。特にCuドープすることで、膜厚の10%までの完全弾性回復が実現するとともに、ドープ量の依存性も明らかにした。鉄イオン注入とEBによるアモルファスカーボンの規則化に関する研究は、震災の影響で、日本原子力機構ならびに産業総合技術研究所のイオン注入装置の使用が難しいために、本年度は中止し、ナノカラム構造化DLC膜のマイクロパターン化に関する研究を進めた。具体的には、既設の高密度酸素プラズマエッチング装置を用い、Si基材上にコーティングしたDLC膜をサンプルとし、ナノプリント技術で標準マスキングパターンを作成し、非マスク部のDLC膜をエッチングすることで、ナノカラムDLCのナノパターンを創成した。インレンズSEMでの測定結果から、ナノプリント・マスクパターンに対応して、DLC上に均一なパターンが創成できたことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ナノカラム構造の解明および金属ドープによるナノカラム構造制御に関しては、23年度に成果を国際ワークショップで公表したことに加え、本学の紀要で公表するなど、一定の成果を明らかにしている。また最終年度には、Overview論文(欧文誌)、国際会議での発表も予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は、ナノカラム構造化による表面特性の制御と、バイオアクティブコーディングへの展開、ナノシール効果の発現証明などを中心に研究をまとめたい。前者に関しては、すでにAFMで明らかにしている表面規則化形状パターンの濡れ角制御の可能性を基盤に、文献サーベイの結果と合わせて、バイオアクティブネスとの関係を論じたい。後者に関しては、ナノカラムDLCコーティング同志での、弾性接触範囲での摩擦特性を実験的に調査し、高面圧でのトライボロジーを議論する考えである。
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