2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22560205
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
山根 浩二 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (10210501)
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Keywords | 脂肪酸メチルエステル / 低圧縮比 / ディーゼル機関 / 希薄予混合 / 高着火性 / 高気化性 / 火花放電 |
Research Abstract |
ディーゼル機関の低圧縮比化および予混合圧縮着火は,正味熱効率の向上や低排気特性が見込まれるものの,低負荷時の燃焼不安定や機関始動性の悪化を招く.そこで,これらを解決するために,火花放電によって予混合気に自己着火を誘発させ,燃焼をコントロールすることを試みた.23年度には,高着火性・高気化性の特性を有するバイオディーゼルに一種であるラウリン酸メチルエステルを燃料に使用して,その早期噴射と圧縮比14による低圧縮比化による着火遅れの長期化を利用して,通常の点火プラグによって火花放電を行い自己着火誘発に対する効果を実験によって調査した. その結果,投入熱量1.1kJ/cycle相当の低負荷で,吸気を絞って当量比0.93とした場合,燃料噴射時期と火花放電時期の組み合わせにおいて,ある一定の範囲で,1段目の熱発生率のピーク付近で放電することで,2段目の熱炎によると思われる熱発生の時期が早まる,いわゆる自己着火が誘発される現象が生じることが確認された.この燃焼を本研究ではSICI(Spark-Induced Compression Ignition)と名付けた.また,火花放電なしでは通常のディーゼル機関の自己着火も生じない噴射時期が遅い運転条件では,火花放電すると緩やかな熱発生率を示す,いやゆるスパーク点火燃焼(SI)と同等の熱発生率が現れることや,放電時期と燃料噴射時期を近接させるとSICIとSIの混在する運転範囲があることも明らかになった. このような火花放電による自己着火誘発現象のメカニズムを解明するために,ディーゼル機関の燃焼を模擬した高圧定容燃焼器を試作し,燃焼の可視化や解析を試みた.また,火花放電による自己着火誘発効果は,始動性時の燃焼安定性にも貢献できることが実験によってわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
低圧縮比化した小形直噴式ディーゼル機関を用いて,体積効率を40%程度まで下げた条件において,火花放電によって自己着火が誘発する現象を確認し,その現象が生じる燃料噴射時期と放電時期に対する成立条件を見出した.また,この現象が生じる原因を解明するために試作した定容燃焼容器が完成したが,エンジン内における圧縮端条件と同等の雰囲気をまだ達成できていない,今後,改良を加え燃焼の可視化や解析を行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
定容燃焼容器におけるエンジン圧縮端と同等の雰囲気条件を実現するため,電気加熱装置の強化とさらなる断熱強化を行う.
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Research Products
(5 results)