Research Abstract |
本研究では,正方形断面容器が斜め水平方向に不規則励振を受ける場合,容器内液面のスロッシングの非線形応答を調べた.理論解析では,卓越した2つのスロッシングモード(1,0),(0,1))に加え,5つの高次モードを考慮したモード方程式を誘導して,モンテカルロ法を用いた数値シミュレーションより液面変位の二乗平均値を求め,対応する線形系と比較した結果,次の成果を得た. (1)狭帯域不規則励振が作用する場合,その特定の中心周波数範囲で,直接的に励振される(1,0)モードのスロッシングが連続して発生するが,(0,1)モードのスロッシングは非線形連成により間欠的に振動する. (2)励振方向角が0°から45°に変化するにつれ,(1,0)モードと(0,1)モードの二乗平均値は同等の値を示す傾向があるが,励振方向角が40°付近になると,(1,0)モードよりも小さい励振エネルギーが作用する(0,1)モードの方が二乗平均値は大きい値を示す. (3)励振方向角が0°からずれる一般の場合には,(1,0)モードと(0,1)モードが同時に発生するため,液体の溢流が容器の四隅で起こる可能性が高い. 次に,正方形断面容器が取り付けられた弾性構造物が水平方向の正弦励振を受ける系を対象とし,卓越した2つのスロッシングモード(1,0),(0,1))が励起される場合に,構造物と液面スロッシングの共振曲線を理論的,実験的に調べた結果,次の成果を得た. (4)構造物が水平励振を受ける場合,(1,0)と(0,1)のスロッシングモードが内部共振に起因して同時に発生するため,構造物の2つのピークが抑えられる.しかし,共振曲線の右側ピーク付近ではホップ分岐が起こり,振幅変調運動が発生する.この振幅変調運動は,容器断面形状を正方形から少しずらすことによって消滅する.
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた不規則励振を受ける場合の実験において,現有装置では不規則励振の発生が困難であることが判明したため,対応する実験を行わないという計画に変更する.ただし,数値計算により不規則励振による非線形応答を継続して調べるため,本質的な研究計画の変更はない.最終年度には,不規則励振の場合の実験を行わない代わりとして,正方形液体容器が水平方向と鉛直方向に同時に正弦励振を受ける場合,液体スロッシングの非線形応答を理論的,および数値的に調べる予定である.
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