Research Abstract |
本年度における主な研究課題は,3つの基本モジュールである「伸縮ロフストランドクラッチ」,「膝関節駆動機」および「受動足首機構」の設計・製作であった.以下に本年度行った成果の具体的内容を示す. 1.伸縮ロフストランドクラッチについて:バネやモータなどのアクチュエータを持たず,簡単なレバー操作で即座に杖の長さの長・短が切り替わることを特長とする伸縮杖を設計・製作した.なお,杖長さ・伸縮量については,実験協力者である脊髄損傷者(60歳代,男性,麻痺レベル=L3)の方に合わせた.今後,レバー操作をマイコンによるスイッチ操作に変更することにより,軽量化・デザイン性の向上を図ることを検討している. 2.下肢関節駆動機について:マッキベン型空気圧アクチュエータを試験的に用いることにより,電気モータと比較し,(a)速い動作が実現可能であり,(b)ボンベを含めても,より軽量である,(c)柔軟性に富み,電気を切ると完全にフリーになるため使用者への負担が軽いという長所をもつモジュールを開発した.しかしながら,(d)携帯用ボンベは断熱膨張時に温度が下がり,圧力が低下するため,立ち上がり・着座時のパワーアシストには利用できるが,歩行のサポートは難しいこと,また(e)立ち上がり動作において,杖のサポートとしての役割を担うが,ややパワー不足であることが分かった.したがって,次年度は,アクチュエータの選定を含めた検討が必要である. 3.受動足首機構について:足首関節にバネ要素を取り付ける予定であったが,立ち上がり動作時において,バネ要素は脚を引き寄せることを困難にすることが実験を通して分かった.そこで,次年度は,双方向ではなく,片方向のみにバネ要素を入れる,または受動ではなく,能動関節とするなどの検討を行う予定である.
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