2011 Fiscal Year Annual Research Report
舌-乳首接触圧計測システムの開発を通じた哺乳時の乳児舌運動メカニズムの解明
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22560431
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
新川 拓也 大阪電気通信大学, 医療福祉工学部, 教授 (50340641)
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Keywords | 哺乳行動 / 人工乳首 / 舌運動 / 舌-人工乳首接触圧 / 力センサ / 新生児 / 乳児 / 臨床 |
Research Abstract |
乳児の成長過程において栄養管理は極めて重要であるが「とりわけ低出生体重児は,母乳や人工乳を哺乳する「哺乳行動」に課題を抱えている割合が多く,健やかな成長の妨げとなる.このような背景から「哺乳行動の理解」は必要不可欠といえ,中でも哺乳時において主体的に働く舌の運動計測は極めて重要である.本年度の研究では,舌運動の力学的計測システムの最終形態を開発するとともに,臨床でも利用可能な計測環境の構築を試みた.本研究における成果を以下に示す. 1 片持ち梁式力センサの小型化と特性評価 哺乳時において,舌が人工乳首に与える力を計測するために,小型力センサの開発を行った.梁や人工乳首の材質を最検討した結果,センサの動特性は13msに向上し,より詳細な舌運動計測が可能となった. 2 計測システムの構築 マルチセンサに対応した信号処理装置を構築し,ほぼリアルタイムで計測結果を表示可能となった.具体的には,センサから得られた信号を増幅し,A/D変換するための信号処理装置の開発および組み込みシステムを導入した小型化を図ることに成功した.この成果により,臨床現場でも用いることができる可能性を示した. 3 新しい力センサの試作 人工乳首の表面に対して垂直な力成分を抽出するために,新しくベアリング球を用いたセンシングユニットを試作した.これによって片持ち梁形式のセンサよりも堅牢さを増すことも可能となった.さらに,データロガ,液晶表示器を含めた信号処理装置一体型の小型計測装置の開発目処がたった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目的としていた,力センサの小型化,高性能化に成功し,より詳細な舌運動計測が可能となった.さらには臨床現場に持ち込んでも有用なリアルタイム計測システムの構築にも成功し,組み込みシステムへの応用も半ば達成した.作業自体は計画以上に進んでいる.ただし,研究成果の公表においては,さらなる積極的な方策が必要と考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
研究遂行について,システム構築の作業は現場のペースを維持しつつ,ベアリング球を用いた新しいセンサの実用化を図る.また,研究成果をわかりやすく国民に知らせるため,研究の目的,概要,結果をWebページに掲載する.その場合は,被験者の個人情報保護に務める.また,被験者について,研究協力者と十分に相談し,健常児とそのように分類できない児の相違点を体系化し,吸啜異常の診断支援システムの構築を試みる.
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Research Products
(2 results)