2011 Fiscal Year Annual Research Report
世帯の多様性を考慮した世帯の交通および家庭エネルギー消費量の推定
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22560535
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
谷下 雅義 中央大学, 理工学部, 教授 (30242001)
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Keywords | 人口密度弾力性 / 全国消費実態調査 / 所得弾力性 / 価格弾力性 |
Research Abstract |
総務省に申請を行って入手した1994年,1999年,2004年の全国消費実態調査の個票データを用いて,世帯のガソリン消費量および電力消費量に関して,世帯人数や構成,所得,資産,技術進化や社会経済環境の変化を考慮した時点ダミーそして人口密度(市町村単位)などを説明変数として回帰分析を行った.またその結果をもとにガソリン消費量や電力消費の人口密度,所得,燃料価格弾力性の推定を行った. ガソリン消費については,人口密度の定義によって推定値が大きく変化すること,一番精度が高かった市町村単位の可住地面積当たりの人口密度を用いると,人口密度弾力性は-0.18,所得弾力性は0.12,ガソリン価格弾力性は-0.24と推定された.また世帯を人口密度によって3分類して推定すると,人口密度が高いほど,その弾性値が高くなり,所得が高いほど所得弾性値は低下する傾向が示された. 電力消費については,家電保有を変数に加えると,価格および所得弾力性は低下することを明らかにした.これは所得や電力価格と家電保有が相関していることを示しており,短期および長期の弾力性として解釈可能であると考えている. また前年度までの成果(スイスの個票データを用いて,世帯の環境態度を考慮した分析,また町字単位別の乗用車保有に関するデータを用いた分析)について学会発表を行った.前者については,環境態度に関する変数をモデルに加えることで,人口密度弾力性や所得弾力性が若干小さくなることを明らかにした.また後者については,空間的自己相関を考慮することが重要であること,またイギリスで行われた先行研究とは弾力性の数値がかなり異なることなどを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全国消費実態調査の個票データを用いて,ガソリンおよび電力使用量に関する分析を行った.しかし,データフュージョンによる複数の統計調査の統合利用による世帯の活動スケジュールに関するミクロデータの生成(連携研究者:坂本)の進展が十分とはいえず,来年度の課題となった.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は,電力に加えてガスや灯油などについても分析を行いたい.6月に今年度の成果についてドイツおよび大阪で発表する予定である.また「データフュージョンによる複数の統計調査の統合利用による世帯の活動スケジュールに関するミクロデータの生成」について連携研究者である坂本の協力を得てすすめる予定である.そして最終的に報告書を印刷物として作成する.
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Research Products
(2 results)